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特集「構造用集成材」

 日本における構造用集成材市場は、200万立方㍍を超すまでに成長した。立方㍍あたり5万円とみても、今や1,000億円産業となった。中・大型木造建築に多用され、特殊製品とされる海外とは異なり、日本では戸建て住宅の構造部材として広く用いられ、世界的に見ても特異な市場を形成している。10年の公共建築物等木材利用促進法を受け、中・大型建築物で木造の建設事例が増し、製品性能が明確なより部材が求めらるようになるなか、構造用集成材は一層欠くことのできない部材となってきた。 近年では、国産材利用の流れを受け、国産材製材メーカーが事業領域を広げる形で構造用集成材事業への参入が相次いだが、欧州産ラミナ構造用集成材の価格動向に左右されることは、事業の安定性確保の足かせとなっている。さらに、構造用集成材はエンジニアード・ウッドとして寸法精度や品質が安定し、さらにJAS製品であることで、どの構造用集成材メーカーも製品特性を打ち出しにくい。 こうしたなか、国内外問わず構造用集成材メーカーは、供給体制や製品のサイズ展開、ラミナ調達を工夫することでの生産コスト削減など、さまざまな取り組みで差別化を図り、需要を掴もうとしている。今回の特集では、国内の中・小断面構造用集成材メーカーを中心に、現在の生産量や生産品目をはじめ、今後の事業の方向性などを紹介する。
銘建工業

 木造軸組の拡大に尽力

 

 構造用集成材メーカー国内最大手の銘建工業(岡山県真庭市、中島浩一郎社長)は、小断面・中断面・大断面の各集成材をトータルに製造している。 月間生産能力は小断面1万立方㍍、中断面2万立方㍍、大断面1000立方㍍。主に欧州から輸入している小・中断面のラミナの樹種はWウッドとRウッド。一般住宅の横架材に使用する中断面はほぼ全量Rウッドだ。

中国木材

 来年4月、日向工場稼動予定

 

 中国木材(広島県呉市、堀川智子社長)の構造用集成材工場は伊万里工場(佐賀県伊万里市)と郷原工場(広島県呉市)、大断面も扱う鹿島工場(茨城県神栖市)からなる。伊万里工場はHBが中心。郷原工場は14年末に1シフト体制にするなど、生産調整を行う。鹿島工場では、桧以外の集成材に対応。特に輸入品が主体のRウッド集成材(月間5,000立方㍍入荷)の不足分を補っている。

宮盛

 月間6,000立方㍍を生産

 

 集成材メーカー大手宮盛(秋田市南秋田郡、伊藤信悦社長)は、構造材を主体に月産6,000立方㍍を生産している。機械の能力としては月産7,000立方㍍以上あるが、需要展開が厳しいことから生産調整をおこないながら受注に対応している

秋田グルーラム

 プレカット工場を新設

 

 大断面集成材メーカー秋田グルーラム(秋田県大館市、佐々木孝藏社長)は、大館市釈迦内工業団地にプレカット工場を7月から着工する。プレカット材の生産能力を2倍に引き上げ、国産材の利用拡大につなげる。投資額は7億円で敷地面積2万9,000平方㍍に床面積3,000平方㍍の工場を建設。来春の稼働を目指し、新規雇用を10人程度増やす。

菱秋木材

 新規拡大より得意先

 

 菱秋木材(秋田県能代市、秋元秀樹社長)は、需要に見合った生産体制で厳しい需要展開に対応している。生産量は月産5,000立方㍍、年6万立方㍍で推移しているが、Rウッド集成平角の生産を月産3,000立方㍍生産していたが、この数量では採算を合わせるのが難しくいくらか生産量を減らしている。

 

ウッティかわい

 蟹岡工場の設備を一新

 

 ウッティかわい(岩手県宮古市、澤田令社長)は、顧客からの増産要望に応えるために14年に蟹岡工場(宮古市)の製材設備を一新し、雫石工場と合わせて原木消費量を年間約30万立方㍍とし、集成材生産能力を月間約1万立方㍍(年間12万立方㍍)まで引き上げた。生産される集成材の99%以上は国産材だ。

二ツ井パネル

 月産3,000立方㍍の集成材生産

 

 集成材メーカー二ツ井パネル(秋田県北秋田市、鈴木稔社長)は、需要動向を見ながら月産3,000立方㍍の集成材を生産している。同社は、見込み生産を行わず需要に見合った生産をしており、在庫が増えるといった状況には至っていない。

東北通商

 省エネ型乾燥システム発表

 

 木材乾燥のパイオニア東北通商(秋田市、青木聰社長)は、新しい画期的な省エネ型乾燥システムを木工機械展で発表する。今回の新システムは、集成材の乾燥にも対応可能で、温水ボイラーとの組合わせでランニングコストの大幅削減ができる木材乾燥システム。また、12年に木材乾燥装置の設計製造、各種木工機械の設計製造、焼却炉・温水ボイラーの設計製造、木材乾燥装置・各種木工機械のメンテナンス、木材乾燥・木材全般に関わる研究などを専門におこなう株式会社JESを設立した。

櫻井

 吉野材にこだわる製品作り

 

 構造用集成材メーカーの櫻井(奈良県吉野郡、櫻井信孝社長)は、小断面を軸に生産する本社吉野工場と中断面を生産する五條工場で生産体制を構築し、両工場で月間9,500立方㍍を生産する。 吉野工場は主力の集成管柱を月間14万本生産。創業以来の商品である化粧貼り集成柱は、月間約7,000本と例年に比べやや減少傾向となった。化粧貼り集成柱市場は縮小傾向にあるが、大黒柱向けに150~300㍉角など太柱の出荷が好調で底支えしている。

サイプレス・スナダヤ

 桧、米ヒバ構造用集成材の最大手

 

 サイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市、砂田和之社長)は、米ヒバ小断面構造用集成材を年間2万4,000立方㍍、桧小断面構造用を同2万立方㍍製造販売し、米ヒバと桧構造用集成材では国内最大手に位置する。 桧構造用集成材は105、120㍉角3、4㍍長を主力とする。原材料は自社製材工場への桧丸太投入が年間4万立方㍍、製材出来高2万立方㍍のうち1万3,000立方㍍が桧ラミナとなる。並行して外部製材会社からのラミナ調達が1万8,000立方㍍前後あり、桧ラミナ総消費量は3万立方㍍強にのぼる。

 

辻井木材

 構造材核に内装まで府内産

 

 木材建材販売大手の辻井木材(京都市、辻井重社長)は、製品販売に占める国産材製品比率を年々高めており、特に京都府内産木材の取り扱いに力を入れている。同社が開発した京都府内産杉構造用集成材「ひなた」は同社の国産材戦略の主力製品で、「ひなた」を核に、梁桁材、羽柄材、下地材、内装材、木製家具など、京都府内産木材製品の品ぞろえも拡充してきた。公共木造物件のほか、京都府の公的支援による新設木造住宅での採用も着実に伸びている。

片桐銘木工業

 県内唯一の大断面JAS認定

 

 片桐銘木工業(名古屋市、片桐信介社長)は、愛知県愛西市の愛西工場ほかで公共向けなどの非住宅物件や分譲住宅向けの大・中・小断面の構造用集成材を生産している。1本から製造・販売する受注生産体制を敷いており、現在は月間50立方㍍を加工している。

翠豊

 大断面を軸に加工・建設

 

 翠豊(岐阜県加茂郡、今井潔志社長)は、大断面構造用集成材やムク材を中心とした木材加工や建設業務のほか、林業、製材、乾燥、EW材調達など幅広く手がける。14年度は非住宅木造化の流れが強まり、特に「設計面など複雑な物件が増えた」(今井社長)と話す。

オホーツクウッドピア

 小・中断面の増産体制を整備

 

 協同組合オホーツクウッドピア(北海道北見市、和田修理事長)は、公共物件や民間企業等の大型木構造建築向け大断面の構造用集成材製造を得意としている。そのほかにも小・中断面の構造用集成材生産では、地場産材を積極的に活用しているのが特徴の1つだ。

下川フォレストファミリー

 公共物件向け注文増加

 

 下川フォレストファミリー(北海道上川郡、山下邦廣社長)は、14年5月に下川町森林組合(同、阿部勇夫組合長)の集成材加工事業を譲り受け、設立した。主な事業領域は、構造用集成材の販売や造作用集成材の加工販売、土木・建築資材のくん煙処理木材の製造販売などを行っている。構造用集成材は、協同組合ウッディしもかわ集成材工場への製造依頼や販売、在庫管理を行っている。同協同組合の年間生産量は1万立方㍍で、そのうち下川フォレストファミリー向けが4,000立方㍍、三津橋農産(同、三津橋英実社長)向けが6,000立方㍍と前年とほぼ同じだ。

 

協和木材

 月産3,000立方㍍に拡大

 

 協和木材(東京都、佐川広興社長)は構造用集成材の生産量が月間3,000立方㍍となり、工場建設当初の生産目標に到達した。昨年まではプレスの前工程の作業が追い付かず、能力を十分に生かせなかったが、段取りの改善などノウハウを積み上げ、前工程の遅れを解消した。現在はさらなる増産に向けて山形県新庄市で新工場の建設計画を進めており、来春稼働すれば生産量は月間6,000立方㍍に倍増する。管柱換算で月間2,000棟分(1棟当たり3立方㍍換算)に達する圧倒的な供給能力を強みに、大手住宅会社やビルダーの需要を開拓する。

院庄林業

 付加価値販売進める

 

 院庄林業(岡山県津山市、武本哲郎社長)は集成材製造部門のインノショウフォレストリー(同)で小断面・中断面集成材を製造している。 直近の月間生産量は1万2,000立方㍍で小断面が4割、中断面が6割の比率。小断面のラミナの樹種は4割がRウッド、3割がWウッド、3割を桧が占めている。桧は柱と土台角を約1,000立方㍍規模で生産している

STSテクノウッド

 エゾ松市場開拓の先駆者

 

 STSテクノウッド(ロシア沿海州、ビフロフ・A・A社長)は、エゾ松集成管柱を日本市場に定着させた。 ロシアは、とかく安定供給が課題とされる。だが同社は、住友商事との合弁企業であるチェルネイレス傘下で、年間120万立方㍍水準の安定的な伐採量を背景に、構造用集成材事業を展開し、供給の安定性を担保した。 14年の供給量はエゾ松集成管柱105㍉角を主力に積層間柱など2万立方㍍。120㍉角の需要にも対応し、供給量の10%を占める。

ザイエンス

 集成・KD比率70%に

 

 木材保存処理大手のザイエンス(東京都、荒井浩社長)の主力製品である防腐防蟻処理土台に占める集成、KD材比率は70%前後となっている。13年度上半期(12年10月~13年3月)の時点ではまだ57%だったが、14年度上半期で63%、さらに15年度上半期で70%まで集成、KD比率が上昇、木造住宅土台分野においても、急速に集成、KD化が進んでいることを如実に示す。

西濃木材

 別注集成材バラ出しで差別化

 

 米材役物製材輸入販売の西濃木材(大阪市、西畑憲一社長)が集成材事業を立ち上げて7年、14年9月期の同事業売上高は15億円まで拡大している。引き続き15年9月期は10%以上の伸びを目指すが上半期を終え、期初計画を上回るペースで推移している。構造用集成材市況は良くないが、同社が最大の特徴とする別注構造用集成材は既製品市況変動にさらされにくく収益も安定している。1本からでも納材する独特の販売手法が買い方に浸透、需要家の役に立つ流通機能への評価が確立されつつある。

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