乾燥機特集
林野庁の木材統計によると、2011年の製材品出荷量は943万4000立方㍍と前年比0・1%増にとどまったが、人工乾燥材出荷量は263万2000立方㍍と同3・5%増え、製材出荷に占める人工乾燥材率は前年の27・0%から27・9%へ上昇した。10年前の2001年に比べると出荷量は70・1%増え、わずか10%にすぎなかった乾燥材比率は3割近くまで高まった。
蒸気式乾燥機ではトップクラス
新柴設備(北海道旭川市、柴豊社長)が販売する「SK式全自動木材乾燥機」は、換気時の排気熱で空気を暖めるシステムを採用しており、これによって熱エネルギーを徹底的に抑え低コストを実現した。躯体内部は、すべてステンレスの溶接仕上げで、配管・継ぎ手・ヒーターなどの内部機器もステンレスとし長期間の運転にも耐えられるようにした。脱脂乾燥・小径木・芯持ち柱角・芯持ち梁ケタ類の乾燥には湿度コントロールがポイントとなるが同機は自動調湿装置を備え的確に対応する。
「Eドライ」搭載型40台以上の実績
エノ産業(北海道上川郡、大隅卓也社長)が開発した全自動システム制御装置「Eドライ」を搭載した木材乾燥装置が、順調な売れ行きを示している。「Eドライ」は、材温と含水率を自動測定、測定したデータに基づいて最適な乾燥スケジュールを選択して乾燥するシステムで、乾燥する材料に無理が掛からず、スムーズに乾燥できる独自の水スプレー方式により調湿・冷却工程が無理なく短時間で終了する効果がある。このほかに、オプションであるがIR付CCDカメラを設置することで、試験材の小口が常時テレビモニターで確認できるのも特徴の一つだ。「Eドライ」は、改良を重ねて現在は「EドライⅢ」になった。
内納入実績№1、最適な乾燥施設を提供
木材乾燥機総合メーカーのヒルデブランド(長野県安曇野市、印出晃社長)は、国内における木材乾燥機の先駆けであり、2200事業所、5000基以上という国内納入実績№1を誇る。蒸気式、除湿式、真空式、圧力式など多彩なハードバリエーションをそろえ、乾燥機のことなら何でも対応できるのが強みだ。
高温減圧式を軸に需要へ総合対応、共同開発の中温熱風加熱減圧式も特許申請
大井製作所(静岡県島田市、田中賞社長)では、O‐MAXシリーズを軸とする蒸気式木材乾燥機を展開している。機種としては高温式、高温減圧式、中温式の3種類があり、同社の製材機のユーザーを中心に支持を集めている。同社では取扱商品の木屑焚きボイラーまでセットにした総合的な提案ができる体制を敷いて需要に対応している。
超大型中温乾燥装置を設置、ランニングコスト低減に
東北通商(秋田市・青木聰社長)は、秋田県随一の木材乾燥機メーカーで、北陸を含め西日本を主力に飛躍を続けてきた。今回、広島県の大手メーカーが幅14㍍、高さ6・6㍍、奥行8・1㍍の280立方㍍収量の超大型中温木材乾燥装置を4基設置中で、9月に完成を目指している。
中・高温型三機種で対応
ヒグマ乾燥機(北海道旭川市、鈴木吉彦社長)は、蒸気式の中・高温型三機種を用意、顧客の乾燥する材料に合わせて販売している。商品は「HIGUMA―Ⅰ」「同―Ⅱ」「同―Ⅲ」の三機種で「HIGUMA―Ⅰ」は、最高温度130度の高温型で「同―Ⅱ」と「同―Ⅲ」は90度と80度の中温型。Ⅰ型は、芯持ち角など構造材の乾燥に最適で脱脂も表面より10~20ミリ程度が可能。Ⅱ、Ⅲ型は、広葉樹、針葉樹の品質が求められる造作材、家具材、建具材向けとなっている。
遠赤外線乾燥機「ドライパーフェクト」、導入後の乾燥指導も充実
伊豆巴産業(静岡県伊東市、稲葉利夫社長)は、省エネ高速遠赤外線木材乾燥機「ドライパーフェクト」の供給に力を入れている。遠赤外線による高品質な乾燥、廃熱の再利用システム、そして設備導入後の乾燥スケジュールの管理支援体制などが特徴だ。
ロールジェットドライヤーで針葉樹単板を高効率乾燥、高効率ファンで節電にも配慮
太平製作所(愛知県小牧市、神谷慎二社長)では、単板用のロールジェットドライヤーS56‐AC型を国内外へ供給している。熱風を直接吹き付けるジェット方式と1セクション毎に可能な温湿度管理により、針葉樹単板の高効率乾燥を実現している。
バイオマスボイラーと小型蒸気発電機をあわせて提案、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に対応
タカハシキカン(名古屋市、高橋宗則社長)の主力商品は、完全燃焼型バイオマスボイラー「KTコンビネーションボイラー」だ。同社のボイラーは全国で約400缶(基)が稼働中。多くが受注生産品で、企業ごとの要望に応じて設計し、国産材製材工場に木材乾燥機とセットで納入される。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まったため、現在は制度に対応した小型蒸気発電機とあわせた提案にも努めている。
迅速なアフターサービスが特徴
工業用ヒーター機器の日本電化工機(東京都、辻田信弘社長)が販売する「DK式木材乾燥装置」は、室内の温度・湿度・風速が均一、乾燥歩留まりが良く短時間で乾燥できる、などの特徴をもつ装置でこれまでに600台近くの納入実績をもつ。
室数増えるも容量では減少
日本木材乾燥施設協会(辻田信弘会長、正会員15社)が、会員を対象に調査した木材乾燥施設の納入調査によると、2011年の納入実績は室数では前年に比べ増えたものの一室あたりの容量では減少した。2011年の納入実績は、室数で315、容量で1万1622立方メートルであった。室数では過去5年間の中で最も多かったが、一室あたりの容量では最も多かった2009年に比べると30立方メートル近く減少した。
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