2016年建築市場分析
新設住宅、3年ぶりの高水準
貸家と分譲住宅が好調
2016年の住宅着工は96万7,237戸(前年比6.4%増)と13年の98万25戸に次ぐ高水準となった。年初は消費税率10%への引き上げによる駆け込み需要が起こるという見方が強く、そのため堅調な着工を予測していた。しかし、経済情勢を勘案して消費税率の引き上げを先送りした。それにもかかわらずに住宅着工が好調を維持したのは、相続税対策としての貸家需要と消費税引き上げを見込み土地仕入れを強化してきた戸建て分譲住宅が市場をけん引してきた経緯がある。
貸家は相続税の課税強化で従来は課税対象にならなかった層にまで相続税がかかることになり、特に都心部の地価の高い場所に住宅を持つ層に相続税対策の必要が生じた。このため、住宅の一部に貸家を設けると課税評価が下がる仕組みを利用して、都心部に4階建てなどの中層住宅を建築し、その一部を賃貸することで相続税を下げ、かつ家賃収入で住宅建設費を賄うというビジネスモデルが成立。プレハブ大手に加え、木造も耐火構造が可能になったことで住友林業などでもこの市場を強化してきた。
もう一つが郊外型のアパート建築で、戸数の増加はこちらが主導した。大東建託などの得意とする分野で、2×4工法の着工も押し上げた。貸家は41万8,543戸(同10.5%増)で09年以来の高水準。相続税対策が主因で需要があってのことではないので、築年数の古いアパートなどの空室率の増加につながる可能性が高い。2×4工法としては12万3,713戸(同7.9%増)で過去最高となった。
持ち家は29万2,287戸(同3.1%増)と微増にとどまった。昨年夏ごろまでは高所得層などが動きハウスメーカーの受注も金額ベースでは増加傾向にあった。高所得層の動きは株価とも連動しており経済の先行きが不透明になると様子見に転じるなど動きは鈍っている。
分譲住宅は25万532戸(同3.9%増)と増加した。そのうちマンションは11万4,570戸(同0.9%減)と頭打ち。地価の上昇に加えて、職人不足からくる施工費の値上がりがマンション価格に反映され、販売価格が高騰。供給も都心部中心となり、購入を手控える動きにつながった。購入者は都心部では中古マンションへ、郊外では戸建て分譲に移行する傾向があり、マンションの販売では新築より中古の取引量が増えているという。
16年の住宅市場を分析した。
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