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 No.2090号

17年3月期中間決算㊤建材メーカーほか

高収益続出
マイナス金利で予想外の住宅着工寄与

建材、住設機器メーカーの2017年3月期中間業績は、増収を計上した会社が目立った。ただし、売上高の伸びは小幅にとどまり、利益は企業間で温度差が生じている。当期は、消費増税が19年10月まで再延期が決定したものの、マイナス金利導入による住宅ローン金利の低下や国の住宅取得支援で、新設住宅着工戸数が昨年から引き続き堅調に推移した。しかし、公共施設をはじめ、店舗や商業施設関連などの非住宅市場が低調に推移したことが売り上げ増加の足止めとなった。また、円高による輸入資材の値下げなどが資材購入面では業績に貢献したが、一方で海外市場向けの輸出販売は苦戦を強いられた。ただし、海外に生産拠点を持つ企業は着実に売り上げを確保した。

 木材・建材、住宅機器メーカー22社(13㌻参照)の業績は、12社が増収増益となり、増収減益は3社、減収増益が3社、減収減益は3社、増収赤字が1社となった。なかでもTOTOは、国内事業の中間期売上高で過去最高を更新したほか、アイカ工業は、国内の接着剤系商品の販売が好調に推移したことが好材料となり、7期連続の増収増益を計上した。大建工業は原材料やエネルギーコストを下げた結果、営業利益が前年同期比56.2%増、経常利益は同62.2%増と大幅に利益率が改善した。

 総合建材メーカーでは、LIXILグループが、キッチン以外の水周り商品(トイレ、バス)の売り上げが国内は横ばいだったが、米国をはじめとする海外事業の現地通貨ベースが増加になった。特に子会社のアメリカン・スタンダード・ブランズ(ABS)が米国住宅市場の堅調を背景に業績を伸ばした。パナソニック エコソリューションズ社は、住宅用太陽光発電システム事業の国内市場の縮小による販売価格の下落などの影響を受け、減収減益となった。

 木質建材メーカーでは、永大産業が増収増益を計上した。特に利益面では、営業利益が前年同期比63.9%増、経常利益50.9%増と大幅に増加した。住宅資材事業の業績好調が大いに貢献した。ただし、木質ボード事業は減収増益となった。ウッドワンも増収増益となった。同社は、15年9月期に経常利益で損失を計上したが、4月に為替リスクのヘッジ方針を転換した。国内での建具や床材、収納などの内装材の売り上げ増加が下支えした。また、水周り関係では、ムクキッチン「スイージー」の売り上げ増加も反映された。南海プライウッドは、増収となったとなり、営業利益も黒字転換したが、経常損失、当期純損失を計上した。

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