マンションリノベーション
新たな市場に商機
建材・住設業界や住宅業界で新たな市場として注目を集めているマンションリノベーション。新設住宅着工戸数が将来的には、減少傾向を示すことが予測されるなかで、リフォームやリノベーションなどの需要増加への期待が高まっている。
リノベーションとは、建物が当初持っていた機能や性能以上に(の)新たな付加価値を向上させることだ(トル)。建て替えは行わずに耐震性や防火安全性を確保して、建物の耐久性を向上させるほか、マンション等の建物をスケルトン状態にして間仕切りの変更や水周りの配管を移動するなど大規模な工事が中心となる。関東・首都圏ではタワーマンションをリノベーションしたいという依頼が増加している。
近年、マンションリノベーションが伸びてきた背景には、首都圏を中心とする中古マンションのストック数が急増しているがある。また、若年層が住宅を取得する場合、新築は高額で購入できないものの、中古物件をリノベーションすることで金額を抑えつつ、自分の生活スタイルに合わせた住空間を得ることができることも増加の要因だ。ただし、現状ではリノベーション物件は安いという認識は薄れ、不動産業者やディベロッパーが中古マンション1棟を買い上げ、全面改修して、新築当時の価格で販売するケースが急増するなど、マンションリノベーションを行うことで不動産の価値を引き上げようという投資目的にもなっている。
不動産仲介業界では、東急リバブル(東京都)が10年以上前にマンションの1棟リノベーションを開始し、着実に売上高を伸ばしている。
住宅会社では、住友林業(同)が5年前にリノベーション営業部を設置し、マンションの共用部を改修することで価値を高めた販売を実践している。ポラスグループの中央住宅(埼玉県)は、マインドスクェア事業部マンションディビジョンでマンションの1棟まるごとリノベーションプロジェクトを展開している。2015年11月に販売開始した千葉県我孫子市天王台のマンション(24戸)に次いで、9月には第2弾となる西東京市のマンション(50戸)の販売を開始した。今後は1年に2物件程度の同プロジェクトを計画している。
また、マンションリノベーションは建材や住設機器などの資材が相当量必要となるため、建材流通や建材メーカーの参入が相次いでいる状況を特集した。
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