住宅・非住宅の木造化を後押し
木造設計支援会社の取り組み
木造建築を取り巻く環境変化に対応し、設計事務所の機能も変化してきた。特に中・大規模木造建築物、非住宅木造建築物などの案件が増加することに対して、これに対応できる設計者へのニーズが高まっている。こうした新たな木造建築物の設計への対応を強化する会社や、ネットワークによる対応を目指す動きも見られる。
木造の設計を組織的に行う企業は、住宅会社の設計業務を外注化した会社のほかに、プレカットの伏図作成など業務を行う会社が住宅会社からの要望で業務範囲を拡大してきたところもある。
住宅行政も性能表示制度、長期優良住宅や省エネ基準の義務化など、住宅に関する設計業務が増加し、かつ多様化するなかで、設計支援業務を行う会社の重要性が増えている。特にS造などの他構造から木造へ置き換えていく設計を行う際には、双方の知識を持った設計者が必要となる。
一方で積算業務や意匠図などでは、海外への業務移管が進んでいる。建築士法の関係で設計業務そのものを海外へ移管するのは難しいため、トレースなどの業務を海外に移管するような流れが出てきている。
CADのトレース作業に手間が掛かり、それが入力ミスなどにもつながりやすいため、ここが木造建築の弱点ともなっていた。このためプレカットCADの入力作業を大幅に低減できるソフトも開発されており、木造住宅の生産性向上に寄与していけるのか注目されている。CAD入力のトレースを海外CADで、構造計算やエネルギー計算などを国内で分業する傾向にあったが、この流れを変えていくことにつながるのか、ソフト開発の状況が業務の流れにも影響を与えそうだ。
アルファフォーラムが主宰するAFSCは、プレカット工場などを母体とする設計事務所のネットワークで木造の構造設計を行うグループを結成。木造住宅だけでなく、非住宅木造にも対応を拡大している。
一方で、エムスクエアなどからなるエムグループは、構造安全性を確保し、根拠ある形で提供していこうと独自でソフトを開発。計算業務を受けてその成果物を提供する独自のビジネスモデルを展開する。開発した独自ソフトを販売しない点がこれまでのビジネスとは異なる。
もともとは構造設計を本業としていた木構造システムは、地元の杉材を活用すべく独自にGIR(グルードインロッド)工法を開発し、各地の大規模木造建築物に採用されている。
特集ではこのほか、ウイング、ランバーテック、松本設計、東昭エンジニアリング、創建設計、夢現設計室、木構堂、ネグプラン、ジョインウッド、ウッディファームなどの取り組みを紹介した。
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