欧州材輸入から25年
住宅構造材で主品目の一角に
欧州材の本格輸入開始から、およそ四半世紀が経過した。丸太や原板に始まった入荷は間柱やラミナ、構造用集成材へと広がり、今や主要構造材及び羽柄材の市場で確固たる地位を確立した。この間、新設住宅は1996年の164万戸をピークに減少傾向をたどり、リーマン・ショック後の2009年は78万戸と半減した。だが、欧州産針葉樹製材入荷は年間300万㎥を超えた06年まで増加基調で推移し、消費税増税前の駆け込み需要が台頭した13年は320万㎥、構造用集成材入荷は76万㎥(中国、米国含む)といずれも過去最高を記録した。その後の反動減で、15年は製材が238万4,000㎥、集成材は70万5,000㎥と2年連続で減少したが、今年は7月までの累計で製材が167万㎥(前年同期比20.5%増)、集成材が45万(同9.1%増)と盛り返している。
欧州産地の最大の強みはKD材、構造用集成材の安定供給にあり、木造軸組プレカットの普及とともに、木造軸組住宅の工業製品化を一気に進めた。北米産地やロシア産地、国産材産地もKD化、集成材化では追随しているが、樹種強度、寸法安定性、価格競争力の総合的な評価で欧州産地を脅かす供給勢力は今のところ現れていない。市場の成熟によりかつての勢いは鈍化しているものの、いまだ後退局面には入っておらず、今年の供給動向から見ても今後さらにシェアを拡大する可能性は十分にある。
欧州産地もまた09年のリーマン・ショックでは大きな打撃を受け、企業の勢力図は少なからず変化した。それでも、日本向け供給の層の厚さは変わらない。構造用集成材から間柱、ラミナ、原板と幅広く供給するストゥーラエンソ、シュバイクホファーが突出した大手で、15年の日本向け供給は2社合計で110万㎥超、総入荷のおよそ3分の1に達すると見られる。これに集成材ではケイテレグループ、フィンランドラミネーテッドティンバー(FLT)、製材ではSCAティンバー、UPMキュンメネ、マイヤーメルンホフホルツ、セトラ・グループ、メッツァウッドなどが供給大手に位置付けられる。
近年の動向として顕著なのはRウッド集成平角の生産増強で、シュバイクホファーは14年末にラダウチ工場(ルーマニア)で中断面のJAS認定を取得し、年間計画10万㎥の供給を開始、ストゥーラエンソは14年3月に閉鎖したソレナウ工場(オーストリア)の生産設備をムロフ工場(ポーランド)に移設し、このほど年間計画6万㎥の供給を開始した。ケイテレグループは15年に新設したケミヤルビ工場(フィンランド)で月間4,000㎥の生産を開始し、本社工場(同)との合計で月間1万㎥(年間11万㎥)水準に引き上げた。
欧州材輸入からの歴史を振り返りながら、今後の日本向けの供給動向を展望した。
欧州の日本向け製品主要企業一覧も掲載した。
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