国産材素材取得に動く
資源確保やCSR対策にも
国内の木材産業が使用する素材は7割が国産材になってきた。木材自給率では3割にとどまるが、国内の木材生産業者にとっては主要な素材になっている。合板、製材、木質バイオマス発電などの分野では国産材に原燃料を依存するところも多く、その安定した確保が企業にとっては重要な戦略になっている。
国産材素材に依存する木材加工事業者にとっては、素材の安定確保のために自らが森林を取得して、素材を確保しようという動きがある。代表的なのが中国木材で、米松製材の中国木材から、今や国産材でもグループ工場を含めて年間50万㎥を超える素材消費量がある。堀川保幸会長は原材料確保のために森林取得を拡大する方針を示している。自社で取得した森林からの素材供給が製材生産を支えているとはいえないが、将来を見据えた中国木材らしい戦略といえる。国産材製材大手のトーセンも積極的に森林取得を行う方針で、広く森林を購入する意向をホームページ上でも公開している。
合板メーカーも国産材の大口需要者で大量消費している。秋田プライウッドが代表的だが、素材の安定確保に向けて森林取得に積極的だ。
木質バイオマス発電事業者やその関連チップ業者も森林取得に積極的なところがある。四国の徳信が代表的だが、広域に素材を集荷し、チップ化して発電事業者に販売する手法を取る。
国産材を安定的に利用していくためには森林所有を自ら所有する戦略だ。
森林の取引価格は不明瞭だが、「桧の良く手入れされたような森林は所有者が高い評価を期待しているケースがあり、扱いにくい」と評価額の合意が難しい。小規模に分散した森林では経済価値は低く、山主も所有を自覚していないケースや所在が分からない、境界未確定などの課題もある。
特集では住友林業、中国木材、セイホクグループ、門脇木材、トーセン、協和木材、西垣林業、櫻井、丸和林業、徳信、院庄林業、伊万里木材市場、肥後木材、九州木材工業などの取り組みを取り上げたほか、トヨタ自動車の森林事業についても取り上げた。
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