電子版ログイン

※会員の方はこちらから

 No.2067号

決算特集①住宅・プレカット・木工機械

消費増税に振り回される
貸家は相続税優遇で投資意欲高まる

15年度の新設住宅着工数が、14年より回復し92万537戸(前年比4.6%増)となったものの、1年を通しての住宅需要環境は好調であったとはいいがたかった。企業規模の大小問わず住宅供給会社は、消費税8%への引き上げ前の駆け込み需要の反動減で住宅販売が落ち込みからの脱却に追われた1年で、不採算部門の閉鎖や生産体制の見直しなどが多く、また営業所の出店などについても限られた都心部中心で、集約傾向が多かった。

また前回の消費税後は、経済状況もあって住宅メーカーの倒産など事態もあったが、今年にかけては倒産などの動きはなく、むしろ住宅メーカーが飽和状況のなかで、需要が少ない中でも、厳しい競争が強いられた。

 大手住宅メーカーの傾向としては、多くの企業が売上高を落とすなかでも、経常利益を上げていること。大和ハウス工業など大手住宅メーカー6社における売上高の前年比が、平均で8%減になっているなか、経常利益については10%増となっている。

この傾向から考えられるのが、企業における不採算部分の見直しなど即効性のある経営方針をとったことにある。

積水ハウスやミサワホームでは、集成材やパネル製造など今まで自社生産で行うことで採算性を上げてきた内製化の体制から、工場を閉鎖し企業の工場維持コストを下げる効果を果たした。工場の閉鎖などわかりやすい形以外では、人材の移行を図っている企業も多い。多くの企業は、10%への消費税の引き上げにより再び駆け込み需要が起こりうると想定しながらも、長期的視点に立って住宅着工数の減少は避けられなく、住宅以外の事業を設立し利益を確保しなければならない。

そこで、リフォーム事業や施設建設事業など、住宅事業以外新事業への体制づくりを開始し、住宅事業で余剰人員となる部分を、新事業へ回す傾向にある。

 また住宅商品としては、大手メーカーではより、分譲住宅などとの差別化を図るために、住宅商品の高級路線をとっている企業が多い。大手住宅会社の決算を特集した。

記事ランキング

日刊木材新聞社 木造社屋紹介動画