プレカット工場の中層大規模木造戦略
散発的受注で他社協業も
プレカット工場は、これまの主事業分野である住宅市場が今後縮小していくことが確実視されるなかで新たな市場として非住宅木造建築、中・大規模木造建築物などへの対応を進めている。2010年10月に公共建築物等木材利用促進法が施行され、低層公共建築物から民間の商業施設や倉庫、高齢者施設、幼・保育園など幅広く木造化が進んできた。木造建築物を普及していくには建築コストを低減することが効果的で、そのために住宅用で流通しているサイズの木材を使い、住宅用機械プレカットで加工できることが重要という認識が広がっている。
プレカット工場では材幅が広く、長材や登り梁、斜め加工など3次元加工に対応できる多種加工機などを導入する動きが活発だ。CLTなどの大版の加工ができる6軸加工機を導入する工場もある。
非住宅向けの対応でポイントになるのが大スパンへの対応だ。特殊なサイズの木材を使わずに大スパンを飛ばす手段としてトラス製作に取り組む工場も増えている。特に木造校舎のJIS A3301が交付され、このなかでトラスが位置付けられたことで、建築確認申請上の建築主事判断の材料になることになりプレカットCADのオプション対応でJISトラスの計算ができるようなものが増えてきた。
また、プレカット工場では大規模な物件を受注すると加工工程の調整が必要になるケースが多く、プレカット工場の連携でこれに対応しようとグループ化を図る動きもあった。1工場の加工能力が月間5,000坪だとして500坪の物件を受注してしまうと工場の1カ月の加工量の1割を占めてしまい他の物件の納期に影響が出ることが予想される。そのため地域の工場で1物件を分け合って加工することも想定された。工区ごとに分割することを考えたが、工場による仕口加工の形状が違うケースがあったりするため、実際には特殊加工を特定の工場に集約し機械稼働率を高めるような連携が現実的なものといえそうだ。
特集ではポラテック、テクノウッドワークス、中国木材、宮川工機、吉貞、茨城県西プレカット協同組合、山大、マツシマ林工、三井ホームコンポーネント、ウイング、ランバーテック、プライムトラスの取り組みなどを紹介した。
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