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 No.2062号

国産材製材大型工場㊤

単一量産工場から脱皮
丸太フル活用で事業領域拡大

 近年、大型化が進む国産材製材工場を東日本編と西日本編の2回に分けて掲載する。東日本の国産材製材は北関東、南東北であれば構造材(柱や間柱、土台)、北東北なら羽柄材や集成材、北海道では梱包材や羽柄材と地域の資源事情(樹種や材質)に合った品目で量産化を実現してきた。特定品目の量産は生産性向上と競争力強化に大いに寄与し、とりわけ柱、間柱、土台部位の国産材シェア拡大に貢献してきた。だが、偏った丸太確保が丸太需給をいびつにする弊害や、製材(ムク材)によるシェア拡大への限界論も指摘されるなか、新たな成長戦略としてA材だけでなく、B、C材まで原料に取り込み、ラミナや燃料チップとして活用する動きが広がっている。

 安価に調達できるB材は集成材ラミナやホームセンター向けの短尺材に最適で、どちらも今後の伸びが期待される。燃料チップも含めて製材工場がC、D材まで一括して受け入れられれば、A材の安定調達、製材のさらなる競争力強化も期待できる。国産材製材は集成材、燃料チップの生産を足掛かりに、丸太の総合利用(資源のフル活用)という新たな局面を切り開こうとしている。

 協和木材(東京都)とトーセン(栃木県矢板市)は製材から集成材、燃料チップ、ウッティかわい(岩手県宮古市)は集成材から製材、燃料チップへと進出することで、丸太の総合利用と事業拡大を進めてきた。ラミナを含む製材用の丸太消費量はいずれも年間30万㎥。トーセン、かわいは自社で発電事業も手掛け、どちらも年間9万~10万㌧の燃料チップを消費している。トーセンはあくまで製材、かわいは集成材の生産を第一に置いている点で異なるが、丸太をフル活用する姿勢は変わらない。

 協和木材も発電事業までは手掛けていないが、C、D材まで受け入れて燃料チップを生産している。素材生産から製材、ラミナ製材を手掛ける門脇木材(秋田県仙北市)も自走式チッパーを導入して未利用材チップの生産を開始した。羽柄材製材の庄司製材所(山形県真室川町)も今年チップ工場を建設し、未利用材チップの生産に乗り出す。

 製材とバイオマス、チップなどを含めた総合的な素材活用戦略が製材工場の競争力に影響をしてきそうだ。

 東日本編ではこのほかにサトウ、双日北海道与志本、オムニス林産、木村産業、遠藤林業、山大、二宮木材、ソヤノウッドパーク、ウッドリンクの取り組みも掲載した。

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