国産材輸出
国内資源を海外で売る
2015年の木材輸出は、丸太を中心に増加した。きのこ類を含む林産物では輸出金額が270億円(前年比23.2%増)と農林水産省が設定した2020年の目標値250億円を5年間前倒しで達成した。
最大の輸出先である中国経済の失速と、為替が円安に振れていることなどからこのまま順調に拡大するとは言えないが、丸太で年間70万㎥に近い新市場が誕生したことになる。
国産材輸出は2000年には丸太が3,026㎥だったが、15年は69万1,830㎥(同32.7%増)となった。国産材の新たな需要分野を開拓したい農林水産省と安価な丸太を大量に求めていた中国の市場とのニーズが一致、支援策もあって主に九州地区を中心に輸出が拡大していった。
丸太の仕向け先は中国、韓国、台湾が99%以上。15年は中国が46万9,685㎥(同50.3%増)、韓国14万4,623㎥(同47.3%増)、台湾7万4,586㎥(同30.4%減)となった。全体の7割弱を占める中国は、針葉樹丸太で安ければいいという市場。
中国木構造設計規範の改訂で杉、桧、カラ松を構造材として使用できるように取り組まれており、日本の木造軸組工法も中国規定で認められるよう働きかけている。こうした規定類の改訂と木材ビジネスはまだ連動しておらず、丸太から付加価値製品化を目指す動きとなるにはしばらく時間が掛かりそうだ。
一方で韓国は、日本の内装材メーカーの努力や韓国での様々な情報のなかで桧に対する過熱した購買行動が見られるという。健康に良い、勉強ができるようになるといった情報で桧を使った内装材や家具に人気が集まっている。市場としては日本からの完製品や製材輸出だけでなく、桧丸太を中国で製材して、韓国に製品を送り込む動きが活発で、やや過剰感もある。
台湾は型枠的な使い方が主と聞くが、市場は飽和状態か、主要3カ国のなかで台湾だけ前年比で輸出量が減少した。
国内の状況を見ると輸出の中心になる九州地区では木質バイオマス発電向けのチップ需要が増加しており、低質材の受給が引き締まっている。もともと丸太輸出は利益率の高い商売ではなく、年々粗利が低下しているといわれるなかで集荷面での苦戦が聞かれる。
付加価値化した製品輸出を目指す動きもあるが、製材コストの違いと汎用性という面では丸太に分があり、丸太輸出の増加の一方で製品輸出は伸び悩んでいる。
国産材輸出に取り組む阪和興業、住友林業、S.D.PLAN、瀬崎林業、王子木材緑化、伊藤忠商事、丸美産業、大陸貿易などのうごきを取材した。
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