苗木不足で危うい持続性
主伐再造林で課題に直面
日本の林業はようやく国産材需要が拡大傾向にあり、素材生産量は2002年の1,509万㎥を底に回復し、13年は1,965万㎥(前年比7.4%増)と2,000万㎥に手が届くところまできた。政府は林業の成長産業化戦略を打ち出し、出口需要の拡大施策が実施され素材生産量が増加してくると次の世代の造林が課題になってくる。
近年の木材生産は森林吸収源対策としての森林整備が中心だったが、増加する素材需要に安定的に対応していくには次の世代の造林が欠かせない。そのため、林業政策は間伐による森林整備から、主伐・再造林の時代を迎えようとしている。
そこで課題として浮上したのが、苗木問題だ。苗木生産量は1960年度13億本から2012年度には5,800万本まで減少し、種苗業者も全国で約1,000事業者まで減少している。森林整備が間伐を中心とした施業になったことで、苗木の需要が安定せず、生産者はリスクを回避し、生産を縮小してきた歴史がある。近年、苗木生産は花粉症対策の一環として捉えられ、低花粉の苗でないと造林補助を受けられないといった問題も生じていた。
また、低コストの造林が求められ、伐採から地ごしらえ、植林を一貫して行う一貫生産システムが試験的に行われるようになった。一貫施業を行うためにはコンテナ苗を使用する必要があり、コンテナ苗を使うことで通年施業が可能になる。半面、コンテナ苗の生産量が限られていることが課題になっている。
こうした現状に危機感を募らせ、民間事業者が苗木生産に取り組む動きが出ている。最大手は住友林業で、宮崎の管理型種苗場を3年前に整備、今年は岐阜県のプロポーザルに応募し下呂市の県有地を使って管理型種苗場を建設する。新居浜の種苗場の拡張移転、北海道でのカラ松ハイブリッド苗の育生など各地で苗木供給に向けて体制づくりを進めている。供給目標は年間100万本、自社だけでなく一般へも販売していく方針だ。
栃木県は県内の杉苗生産の全量をコンテナ苗に移行する計画で、15年度の生産を当初計画の31万本から69万本に拡大、昨年の雪害や山火事で種苗需要が増加したことから、コンテナ苗の導入により増産を図る。17年度には90万本に拡大する計画だ。各地の取り組みを追った。
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