需要不振で、決めて欠く
消費増税後のビルダー
一部の大手ハウスメーカーでは住宅の受注が回復傾向にある。特に住友林業は好調で、受注金額ベースで4月は戸建て注文住宅が前年同月比17%増、賃貸住宅は同106%増と倍増、リフォームも同27%増で全体では同22%増となっている。ただ、これは前年同月の実績が低かったためで、戸建て注文住宅の本格的な回復には至っていない。賃貸住宅が好調なのは相続税がらみで、都市部の地価の高い場所では、3~4階建てで賃貸併用住宅を建て、相続税の軽減に努める動きが続いているようだ。
住宅会社の受注速報では次第に受注状況が好転しつつあるような印象を受けるものの、プレカット工場への発注など木材需要に直結する動きとしてはまだ手応えがないというのが実感だろう。大手住宅会社の受注が改善しても、ビルダー層が動かないと、プレカットにつながる木材、建材の需要が顕在化してこない。
3月の住宅着工は14年2月から13カ月ぶりで前年同月比0.7%増とわずかだが上回った。14年度累計では88万戸、前年度比10.8%減、約10万戸が減少し、持ち家に至っては27万8,221戸、同21.1%減と落ち込みの大きさが分かる。「消費増税による駆け込み需要の反動減が予想以上に大きかった」と市川晃住友林業社長は話している。
アベノミクスの効果で一部の大手企業ではベアアップを実施するなど、景況感は改善の兆しもあり、住宅会社によっては、住宅取得マインドの向上を指摘する声もある。その一方で、「例年ならアパート家賃並みの月々のローン返済で購入できる安価な戸建て分譲住宅の市場がこの春はあまり動かなかった」と戸建て分譲住宅市場に詳しい関係者は指摘し、1次取得層でも年収の低い層は景気回復感がなく、住宅取得を見送ったと分析している。好調な都市部の賃貸併用住宅や小型分譲住宅と、郊外では駅近物件や企画・工夫を凝らせて取得層のニーズにマッチした戸建て分譲住宅などに動きがある。
タマホーム、飯田グループHD、三井ホーム、アキュラホーム、三栄建築設計、アサカワホーム、細田工務店、ポラスグループ、桧家HD、ファースト住建、フジ住宅、サンヨーハウジング名古屋、オカザキホームなどの動向をまとめた。
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