改めて考える木材製品流通機能
木材製品市場(いちば)の今を追う
製品市場の売上減少が止まらない。東京木材市場協会がまとめた加盟7社13市場(東京、千葉、埼玉、茨城)の14年の売上実績は駆け込み需要の反動で販売金額が195億円(前年比7.9%減)、販売材積が29万4,800㎥(同11.8%減)となった。新設住宅着工は同9.0%減だから、ほぼ着工と連動しているようにも見えるが、リーマンショックの影響で住宅着工が急減した09年以降で比較すると傾向の違いに驚く。住宅着工は09年を底に4年連続で増加し、13年は09年比で19万戸、24.3%も増えた。にもかかわらず、同協会の売上実績は12年まで減少傾向をたどり、駆け込み需要に沸いた13年でさえ、販売金額は09年と同額(0.0%増)、販売材積は09年を同3.8%下回った。
もちろん、木材需要が減少したわけではない。13年の用材の木材需給(丸太換算)は7,386万7,000㎥と09年比16.9%増え、製材用材に限ると2,859万2,000㎥と同21.6%も増えている。木材需要は増えても製品市場の取り扱いは増えず、シェアはむしろ縮小したことになる。需要は増えても底を打たない売り上げの減少は深刻だ。プレカットによる流通変化だけでなく、主要な販売先である地域の販売店、さらには販売店が顧客とする中小工務店の受注力の低下が大きく影響している。
せり売りで販売する木材市場は需給の変動が価格に反映されやすい。木材市場の取り扱い材は国産材、それも役物、特殊材が中心になる。
製品市場の課題は小売店のみを顧客とする現状の販売形態の限界をどう乗り越えるかにある。およそ20年間で4分の1という急速な市場規模の縮小にもかかわらず、市場会社の再編淘汰があまり起きていないのは、市場会社の多くが不動産事業を始め、プレカット事業、建材流通、または別会社化による直販などの多角化を進めてきたためだ。企業としては今後も成長は可能だが、製品の流通機能としての規模の縮小は避けられそうもない。唯一絶対的なマーケットは役物や特殊材だが、この分野も和室の減少など住宅様式の変化で市場規模は減少しているのが現実だ。
市場規模に合わせて再編淘汰が進むのか、多角化した事業を収益源に、役物、特殊材のマーケットとして規模を縮小しながらも存在させていくのかは市場会社の経営判断にかかっている。
ナイスを始めとして、東京中央木材市場、東京新宿木材市場、東京木材相互市場、東京木材市場、吉貞、茨城木材相互市場、山形城南木材市場、仙台木材市場、ハイビック、東海木材相互市場、西垣林業名古屋市場、ウッドピア木材市売、菅生銘木市場、太洋木材市場、勝山木材市場、岡山木材相互市場、岡山木材市場、熊本木材九木センター、新宮、直方建材を取り上げた。
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