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 No.2007号

木質バイオマス熱利用

本来は熱利用
木材産業は蒸気を活かす

我が国の木質バイオマス利用は、09年に始まったFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)で発電事業に偏重する形で急速に関心が高まった。間伐材等の未利用材の調達価格が1kWh当たり32円という高額設定になり、さらに20年間価格を固定することで新規事業としての注目度が上がったためだ。

FIT開始前までは、バイオマス利用の主流は比較的大型な製材、合板などの製造現場で活用されるケースがほとんどだった。製品づくりを進める過程で、工場内で発生する残材や廃材などをボイラで燃やし、乾燥などに必要な蒸気を入手するためだ。

バイオマス利用は発電よりも熱利用の方が合理的だ。それは、木質バイオマスのエネルギー交換効率は発電では約25%にとどまるが、熱や熱電併給(コジェネレーション)の場合75%以上と高率になる。

ただ、電気は先進国では使い道が広い有用エネルギーであり、さらに供給形態も送電線網があるため、相互補完が可能で安定性が高い方だ。遠方まで運べない熱は地域型の消費構造になり、発生源と消費地が近くないといけないという制約がある。

具体的な熱需要としては、寒冷地の地域熱供給(家庭、病院、学校など)をはじめ、プール・温泉・養殖いけすの加温、農業ハウスの冷・暖房、工業団地等の産業用、道路融雪など幅広い。発電事業は民間事業者が電力会社を見ながら事業計画を煮詰めていくが、熱需要は民間、自治体主導にかかわらず、地域主体で計画を練る必要があり、発電以上に当該地域一丸の取り組みになりやすい。海外から運ばれる化石燃料にお金を使うより、地域経済に貢献できるバイオマス利用を進めることにも意義が生まれ、地域内の賛同者も集めやすくなってくる。バイオマスの熱利用の取り組みを取材した。