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 No.1970号

2013年国産材レビュー

国産材乱高下を検証する
需給調整弁が依然働かず

国産材に関する関心は、木材業界にとどまらず幅広い分野から注目を集めるようになってきた。国産材の活用が温暖化防止や国土保全に寄与するということへの理解が広がってきたのがその理由で、環境への関心が高い消費者層からも支持を集めている。

 国産材を巡る情勢は行政施策や為替動向、消費税率の引き上げによる駆け込み需要とその反動減などの影響を大きく受けた。特にこの2年間は需給バランスを崩し、相場が乱高下したことで安定調達を望む大手住宅会社などは、国産材活用に向けて、その難しさを実感した。

12年度は政府が利用間伐の促進を図り、低質な丸太の出材増加が杉を中心とした国産材丸太の暴落を招いた。13年は、西日本の大型製材工場の竣工や木質バイオマス発電所の建設に備えて早期から燃料用に丸太を集荷・ストックし乾燥させておくことが必要にった。発電所建設に先行して丸太を大量に手当てする地域も出てきたこと、木材利用ポイント事業や地域型住宅ブランド化事業など国産材利用への補助が奏功需要が拡大、12年から一転して桧土台が11万円を超えてくるほどの暴騰につながった。

 国産材需要は乱高下を続けるなかで拡大してきた。13年は製材用が1,205万8,000㎥(前年比6.5%増)、合板用301万6,000㎥(同15.9%増)と増加。チップ用は457万2,000㎥(同0.4%増)とほぼ横ばいで、国産材は合計で1,964万6,000㎥(同6.3%増)と、2,000万㎥に迫る規模になった。近年では2009年の1,619万9,000㎥から4年連続して増加。各地で国産材を挽く大型製材工場が建設され、製材需要の69.8%が国産材となった。杉、桧の構造材を中心とした製材工場だけでなく、ラミナ製材や梱包材などの工場も立ち上がっている。合板用も300万㎥の大台を超え、合板用の72.1%が国産材になった。

 国産材を巡るこの2年間の動きを中心に需要拡大へ向けた取り組みが進む一方で、安定供給へは課題が大きいこともわかってきた。

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