大型木造建築を担える木質材料
CLT、LVL、合板が持つ可能性
木質構造の世界は今、大きな変革期を迎えている。それは公共建築物等木材利用促進法のように木造建築に積極的に取り組んでいくことが世界的な潮流になっており、様々な工法や部材開発が進んでいるからだ。日本でも2000年に建築基準法が性能規定化され、海外の工法や新しく開発された工法などを導入しやすくする土壌ができ、ようやくそれを使って工法開発などが進んできている。
そのなかで最も注目されているのがCLT(直交集成板)で、1995年ごろに開発された新たな工法が、北米や日本、オーストラリアなどに広がってきている。木材を軸材としてだけでなく、面材として使用するのが最近のトレンドでもあり、LVB(LVLに直交層を一部入れたもの)は構造用面材を長尺で使え、曲げたりもできるためこれまでの木造建築とはデザイン的にも異なるものを形作ることが可能だ。
もう一つの方向性としては木造耐火技術の進展だ。1時間耐火としては、木造軸組工法では日本木造住宅産業協会の大臣認定があり、実績は1,000件超、2×4工法では日本ツーバイフォー建築協会の大臣認定があり、実績は2,000件を超えてきている。これらは石膏ボード被覆型のメンブレン工法によるものだが、日本集成材工業協同組合の鋼材内蔵型集成材、竹中工務店の燃エンウッド、鹿島のFRウッドなどは、木材を表面に表す形で大臣認定を受け、建設実績も出てきている。そのほか、鋼材内蔵型のLVL被覆で新日鉄住金エンジニアリングの2時間耐火部材があり、シェルターも耐火被覆材の表面に板を張る形で2時間耐火試験に合格、大臣認定待ちの状態になっている。こうした耐火部材の開発で高層ビルのエントランス部分を木造化するなど都市部での木造の範囲が広がる可能性がある。新たな木質構造材料の動向をまとめた。
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