2013年の住宅着工は5年連続の増加で、98万戸(前年比11.0%増)まで回復した。リーマン・ショック後の09年は78万8,000戸まで減少したものが5年間かけてようやく100万戸に近い水準まで回復した。 ただ、13年の住宅着工の増加は、消費税率引き上げによる駆け込み需要が台頭したことが最大の要因だ。いずれ反動が出ることは明白で、その時期と規模に関心が高まっている。 13年の住宅市場を振り返ると、年初からアベノミクスの効果で円安、株高が顕著になり、市場には景気回復感が感じられ、2%のインフレターゲットの設定や金融緩和策など環境面では恵まれていた。住宅ローン金利も低水準で推移し、住宅取得環境が良く、持ち家は13年12月まで16カ月連続、貸家は10カ月連続、戸建て分譲住宅は16カ月連続でいずれも増加した。マンションは月によって波があったが、年間では12万7,000戸(同3.6%増)と増加傾向にある。 特に持ち家は35万4,000戸(同13.9%増)で、06年の35万8,000戸以来の高水準だ。戸建て分譲住宅の13万4,000戸(同10.0%増)と合わせて木造住宅比率を押し上げた。木造住宅は54万9,000戸(同13.0%増)、木造率は56.1%に伸びた。木造のなかでは2×4工法が初の12万戸台(同11.7%増)に乗せた。13年の住宅着工と非住宅の木造建築の状況を国土交通省の統計をベースに分析した。
木建ルートに迫る異業種
住宅は木材や鉄筋、コンクリートなどの躯体資材を始め、合板や石膏ボード、内・外装建材から窓、住設機器、燃料機器、空調機器、さらに防水シートや金物、電気設備資材、クロスやカーテン、照明から家具、家電まで、様々な資材、副資材、商品で構成されている。
それぞれに卸販売する専門商社・問屋などの流通業者が扱い、その販売形態は総称してルートと呼ばれている。各ルートはそれぞれに、専門の商材を基盤としながらも、事業の拡大や新たな製品開発、新工法の登場、インフラの発達や施策など、様々な変化を契機に、取り扱い品目を拡げ、新たな取引先を開拓してきた。材木問屋が、建材や内・外装材、サッシ、住設機器や燃料機器、最近では太陽光発電システムまで取り扱いを広げ、住宅やリフォームの元請けも手掛ける業容拡大の動きは、管材や電材、ガスや金物のルートでも同様に進んできた。特にここ10数年間は、景気の低迷や新築着工戸数の減少を背景にこうした動きが活発化し、ルートの垣根が少しずつ低く薄くなっている。
リフォーム需要の取り込みは、住宅会社やビルダー、工務店など新築の元請けに限らず、水工店や都市ガスの子会社、サッシ店や街の電気屋など、様々なルートの末端で活発化している。新築であればそのルートで必要な商材は決まっているが、リフォームとなると、キッチンや洗面化粧台などの水周りを中心に、クロスや床材などの内装や窓の取り替えも必要になり、最後には建て替え需要へ行き着くことも珍しくない。各ルートが様々な商材を扱い、供給はもとより商品知識や施工面でサポートできなければ、消費者の揺れ動くニーズに迅速に対応できず、結果として生まれた需要を刈り取れずに終わってしまう可能性も否定できない。
木建ルート以外の各地での主要な取り組み事例を通じて、住宅資材ルートの変化を追った。
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