2012年回顧㊦キーワードで振り返る
資材、需給調整で明暗
次世代型住宅や構造材も登場
大震災発生から復旧・復興に動きだした2012年だが、木材・住宅関連では消費増税の動きとともに、エネルギー問題が大きく注目された。総選挙の争点の一つでもあったが、東京電力福島第一原発事故で国のエネルギー政策が見直され、再生可能エネルギー制度が鳴り物入りで導入された。各地で木質バイオマス発電の計画が持ち上がり、未利用材の活用が今後進むならば、地域の木材需給を変貌させていく産業にもなり得えそうだ。
住宅や建築分野でもエネルギー問題への意識が高まった。行政側が低炭素社会に向けた政策を打ち出し、省エネ法の改正や認定低炭素住宅の創設など基準強化に乗り出している。住宅会社ではスマートハウスの商品化や、太陽光発電の標準装備も広がっている。
住宅需要は10月の新設住宅着工戸数がリーマン・ショック後最高値となった。貸家がけん引したもので、新築増加が一過性か継続性をもったものかは今後の動向を注視すべきだが、震災後の落ち込みからは回復傾向にあることは確かだ。
非住宅となる公共建築物も、学校や幼稚園、高齢者施設などで木造を採用する動きも広がってきた。木造建築物などで利用する資材では、耐火集成材の燃え止まり型の実用化が相次いだことで、従来からの被膜型とともに木材利用の選択肢を増やしている。
木材関係では相場下落が目についた。とりわけ国産材針葉樹丸太が暴落した。森林経営計画に基づいて利用間伐制度が開始されたことで、大量の丸太が原木市場などに供給されて深刻な需給不均衡を呼び込んだためだ。特に桧一般材は半値近くまで値下げした地域があり、九州などでは杉より値を下げる恒常安が定着し、素材生産側の危機意識が高まった問題はこれら原木過剰供給が再び引き起こされる可能性があるかだ。過剰供給体質が構造的なものだという指摘も素材供給や製材工場側から聞こえてくるのが気掛かりだ。
一方で、米ドルとユーロに対して円高が定着したことで、一部輸入材の価格競争力が高まった。なかでも構造用集成材の価格競争力が突出したことで、米材や国産材といった競合材を価格面で蹴散らした。
下落相場は国産針葉樹合板も同様だ。年初に12㍉厚で970円(問屋着、枚)前後だったが、5月連休前で900円(同)、6月中下旬に800円(同)割れと価格居所を落とし続けた。今年はプレカットや住宅メーカー向けの直需が奮闘し、1年を通じて出荷量は比較的に堅調に推移したが、荷が動く割には単価がついてこず、結局は需給バランスをうまく構築できなかった。
キーワードで今年を振り返る。
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