No.1897号
地域材認証制度㊦
地域材認証の功罪
阻害要因ともなる行政区画
地域材は安定供給できるのか。都道府県の地域材認証では原産地認証が多く、これが地域の柱材贈呈事業などと不可分に結びついているが、果たして適正に運用されているのだろうか。例えば四国山地を背骨とする四国、紀伊山地を中核に広がる周辺地域では日常的に各地の素材が流通し、そもそも原産地を追跡することにさしたる意味はない。例えば吉野材、紀州材といったブランドは重要だが、吉野材といっても実際は長年、三重県を含み素材の出自は多岐であり、行政区分で都道府県産材を区別することの無意味さを指摘する声は多い。愛媛県は県内の原木市場、大型製材工場が他県産素材を大量に消費し、原産地認証の制定は困難との立場を明確にしている。
設計で構造材に構造用集成材、構造用合板、構造用LVL等が指定された場合、対象地域にそうした加工設備がないケースは少なくない。構造用製材でも機械等級区分製材を要求する場合もあるだろうし、内装材に圧縮木材、外装材にWPC含浸木材やサーモウッド処理木材などを要求された場合、さらに供給は困難を極める。制度の中には広域供給事業体を設けるものもあるが、この問題を突き詰めると、都道府県という行政区分を前提とする考え方は地域の国産材需要活性化にとり阻害要因である。都道府県予算と施策を直結させるために、こうした問題が起きている。特に公共建築で木造化に取り組む場合、構造材性能が重要になるが、JAS認定の整備状況を含め、対応できない地域が多いのが現状だ。
㊦では、中部、関西、四国、中国、九州の地域材認証制度を取り上げた。
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