外材国内挽き製材のいま
単一生産から多角化へ
輸入製品との住み分け図る
合板向け南洋材広葉樹丸太とともに、米材丸太は戦後の建築需要を支える針葉樹原材料として輸入されてきた。1960年代後半から年間1,000万㎥を前後する米材丸太が全国津々浦々の港湾製材に供給され、最盛期には同1,200万㎥を超える数量が輸入された。現在は同300万㎥前後の輸入にとどまり、この間、大型製材工場を含め、全国で米材製材事業からの撤退、経営破綻が相次いだ。一部には米材製材から他樹種への移行も見られる。ただ現在は再編淘汰の荒波も一巡した感がある。
最盛期には同520万㎥もの輸入があった米松丸太は現在、米材丸太全体の90%前後と圧倒的な輸入比率になっているが、米松丸太消費者は中国木材を筆頭に、東亜林業、マルホ、鶴居産業、須川洋行、キタハマが大半を占める形で固まってきた。特に割物専業の須川洋行を除く5社が米松平角等の国内挽き構造材用製材供給の大半を担う立場にあり、寡占化が進んだ分、当該各社の安定供給面における重要性が増している。
ロシアは輸出税率の引き上げを足がかりに、自国木材産業の製品化を促す思惑があった。極東では大型プロジェクトが相次ぎ、カラ松の単板生産への着手などで一定の成果はあった。だが、関税引き上げによって日本でのロシア材市場そのものを失った感がある。合板メーカーは国産材利用を推し進め、国内挽き企業は撤退や原板再割への転換が相次いだ。
ロシア産丸太の入荷総量は07年から減少の一途で、07年の390万㎥水準から08年には180万㎥と半減以上の落ち込みで、11年には33万㎥水準にまで減少した。わずか3年で市場規模は10分の1以上も縮小した形だ。
一方、丸太入荷の落ち込みを補完する形で輸入製品の入荷量が右肩上がりで推移したのかと言えばそうではない。原板を含めた入荷量は、07年に95万㎥水準だったものが08年を境に67万㎥前後に減少。さらに10年にはこれが半減し、11年には33万㎥水準となった。完製品比率が向上すれば、見かけ上の入荷量は減少するが、それでもロシア材の凋落ぶりは明らかだ。
南洋材丸太は入荷量の約80%が合板用で、残り20%が製材用だが、用途にかかわらず輸入量は漸減した。11年の合板用丸太は40万2,300㎥で前年比13.9%減、製材用が10万6,700㎥で同15.7%増だが、10年前と比べると合板用は79.6%減、製材用で53.6%減とマイナス幅が強烈だ。製材用の輸入ピークとなる89年と比較すると、現在の市場規模は6%まで縮小していることになる。
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