なぜ国産材原木は暴落したか
需給調整機能欠如を露呈
需要減・搬出間伐・円高からむ
今年の国産材原木価格の下落の特徴は、西日本が中心で、桧柱取り、土台取り等から杉小径木などへ広がりを見せたこと。一部の地域では杉と桧の丸太価格が逆転する現象まで起き、桧の相対的な価値低下が指摘された。
杉小径木丸太の値下がりは、林地残材などを木質バイオマスとして有効活用していくために、搬出間伐を主体にした間伐補助制度に変わったことが主因との見方がある。その一方で、林地残材の新たな需要先として見込まれていた再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の実施が遅れ、今年7月に制度が始まった。近年、国産材B材丸太の受け入れ先として定着してきた合板向けが合板市況の低迷から生産調整を余儀なくされていたことも価格下落の要因になった。九州では4㍍中目大曲がり材が、一部の地域ではチップ材並みの4,000円くらいまで下げ込み、それでも需要がない時期が続いた。
今回の値下がりは、国産材が価格競争力を持つというより、安定しない信頼性の低い素材という印象を住宅会社など需要者に与えてしまったのではないか。安定供給、安定価格を望む需要者が多いなかで、「やはり国産材は価格の変動が大きく、不安定」(大手プレカット工場)。国産材は素材生産、搬出へ政策的な支援が手厚く行われ、需要拡大への取り組み、いわゆる出口政策の乏しさを指摘する声が強い。ここ数年、国産材を使おうという住宅会社は多数登場し、国産材利用に向けた取り組みを行ってきたところも少なくない。各産地の状況や需要者側の動向をまとめた。
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