水周りメーカ―、生き残りを賭けた選択
総合力か専業力か、問われる持ち味
建築基準法改正による影響で07年の新築着工戸数は106万戸(前年比82.2%)となり、さらにリーマン・ショックの影響で09年の新設着工戸数は78万8,000戸(同72.1%)となった。国内の住設機器メーカーは過去5年の間に2度の需要激減に見舞われ、その結果、09年から11年にかけて業界は激動の3年間に揺れることとなった。
最も象徴的な出来事は、09年に、キッチン専業メーカーの雄であった旧サンウエーブ工業が住生活グループ(現LIXILグループ)入りしたこと。その後同じグループ傘下の旧INAXと製造から物流、販売まで事業の一本化を進め、最終的に11年4月、旧トステム、旧INAX、旧新日軽、旧東洋エクステリアと合併し新会社LIXILとなった。同時期に旧パナソニック電工もパナソニックに吸収され、社内分社制度によりパナソニックエコソリューションズ社となった。さらに、事業破綻や親会社の撤退により資本が変わった会社もある。
合併や資本移転はなかったものの、07年の着工減を契機に、メーカーは軒並み減収減益、赤字計上と経営不振に陥った。各社は競ってコスト削減など経営基盤の構造改革に力を注ぎ、着工戸数が10年、11年と道直したことも重なり、10年度、11年度の決算は2期連続の増収増益、黒字回復を果たしたメーカーも少なくない。
激動の3年間を経て生まれたのが総合メーカーだ。浴室・トイレが強みの旧INAXと、国内有数のキッチンメーカーであった旧サンウエーブ工業は、水周りメーカーではなく住資材の総合メーカーLIXILとなった。以前から水周り製品、内外装建材、躯体までそろえていた旧パナソニック電工は、パナソニックに吸収されることでHEMSなどの電材から家電まで、すべてをパナソニックで統一することも可能になった。
これに対して、「ザ・キッチンカンパニー」宣言を出したクリナップを筆頭に、キッチン専業メーカー、あるいは住設機器総合メーカーとして専業化をつらぬくメーカーは、それぞれに独自色の強化を急いでいる。クリナップは昨年6月、木製キャビネットと同等価格でステンレスキャビネットを実現、「クリナップにしか作れない商品」で久しぶりのヒットを飛ばし、専業メーカーとしての矜持を示した。
総合メーカ―化と専業の特徴を発揮すべく取り組む会社など、水周りメーカ―各社の戦略を追った。
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