2011年レビュー③ロシア材、NZ・チリ材
丸太入荷、ロシア、NZ合わせて100万㎥
中国向けに煽られる
ロシア材、入荷減に歯止めかからず
2011年はロシア材が抱える構造的な課題が浮き彫りとなった年だった。丸太の入荷量は針葉樹と広葉樹を合わせ34万3,000㎥となり、日本市場でのロシア材離れを食い止められないでいる。特に、合板用材として入荷を牽引していたカラ松の需要が減退し続け、カラ松入荷は10万㎥水準となり、過去5年で見ても市場規模は20分の1以下で往年の姿はない。それでも09年までは、国産材の補完材として合板用材分野で外材シェアトップを誇っていたが、これも10年には米松との競合で競争力を発揮できず、11年には米松の補完材となるまで存在感をなくした。
一方、震災以降は合板生産で瞬発力が求められたこともあって、カラ松単板の存在感は増した。さらに、極東の林産企業はカラ松やエゾ松を原料に木材総合利用を推し進め、木材コンビナート化が加速している。皮肉にも、ロシアによる輸出税率引き上げの狙いどおりに製品化といった付加価値創出への道を開いたが、日本でのロシア材市場を失ってしまった格好だ。
ロシアのWTO加盟を契機に、輸出税率の引き下げが公約されているだけに、ロシア材需要の再燃を期待する声は日本・ロシアの双方から挙がっている。
NZ・チリ材 円高で需要後退招く
11年のNZ産ラジアタ松丸太の入荷は約70万㎥で前年比微減となった。チリ製品は27万㎥で前年比25.4%増になったが、これは10年の輸入量がチリ地震の影響で落ち込んだことにやるもの。
主要需要先に梱包材需要は10年同様に価格は中国の影響を受け、上半期は原木高・製品安で窮屈な製材状況化に置かれていた。下半期の特に秋季以降は、円高やタイの洪水などから輸出梱包が影響を受けて需要減少を理由に減産対応に迫られた。この結果、製造コスト高に見舞われた梱包製材もあり、企業採算に恵まれた年とは言いにくい梱包製材業界だった。
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