断熱材戦国時代
2020年の省エネ基準義務化に照準
震災前からの断熱材不足は6月後半には沈静化し、7月以降、メーカーと流通は共に積み上がった在庫に頭を抱えることとなった。通常であればこの後は供給過多、価格軟化、生産調整、需給均衡の流れをたどる。しかし断熱材の動きは、輸入品も含め相対的に供給過多となったものの、メーカー側は総じて将来的な需要拡大を想定し、値上げを打ち出す、設備投資をする、商品開発をする、認定を取得する、販路を拡大すると、まさに活況を呈している。さらにここにきて、断熱リフォーム商品の開発・販売を通して、建材メーカーの参入も目立ってきた。
断熱材不足は様々な要素が重なり起こったが、引き金となったのは、住宅エコポイントやフラット35Sの金利優遇を受けるに当たり、次世代省エネルギー基準(温熱環境等級4)の断熱性能が必要要件となったことが挙げられる。現在、次世代省エネ基準対応の住宅は、新築の4~5割を占めていると試算されている。行政施策の威力が示された形だ。
これに続き行政は昨年、2020年度までにすべての新築建物について省エネルギー基準への適合を義務付ける案を公表した。断熱材市場の活況は、この義務化により次世代省エネ基準がさらに普及するとともに、スーパー次世代や等級5などと称される、より高い断熱性能基準の採用も進むと見込んでのこと。断熱性能が上がれば一戸当たりの使用量が増える。新築着工戸数が多少落ち込んでも断熱材需要は右肩上がりが続く算用となっている。
特集では、旭ファイバーグラス、マグ・イゾベール、パラマウント硝子工業、ニチアス、JFEロックファイバー、ダウ化工、カネカ、JSP、旭化成建材、積水化学工業、フクビ化学工業、アキレス、日本アクア、BASF INOACポリウレタン、王子製袋、日本製紙木材などの取り組みをまとめた。
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