No.1848号
国産材の地域需給の変化
各地に大型工場が誕生
素材供給、需要はあるのか
東日本大震災の発生、幾度となく繰り返される円高の過去最高値更新など国産材を取り巻く状況は厳しさを増しているが、その一方で国産材活用を前提とした大型工場の新増設が続いている。需要とは別の補助金の仕組みがあることや被災地での雇用確保や瓦礫処理など木材業界には多くの期待が掛かっている。全国各地で大型国産材工場の建設が進んでおり、既に稼働も始まっているところもあるし、今後立ち上がってくるところもある。大型国産材工場が立ち上がっていくことで、国産材流通にはどんな影響が出てくるのかを見ていきたい。
国産材を素材として活用する工場としては、秋田製材協同組合の製材工場が年間14万8,000㎥で、2012年3月稼働を計画している。宮の郷木材事業協同組合は12年2月から月間1万㎥、年間12万㎥の規模になるなど最近の国産材関係の設備投資は目を見張るものがある。
年間5万㎥を超す大型工場の乱立は何を意味するのか。木材自給率50%を目標に定めた森林・林業再生プランに沿って需要を獲得していくためには生産性の高い大型工場を整備していくことが重要だが、素材供給の体制がそれに見合って拡大しているのかという点が懸念材料だ。大型製材工場が林立する北関東では、杉柱取り丸太などの価格が乱高下し、安値で8,000円、高値では1万4,000円を超えてくるなかで、中小製材工場はこうした価格変動の波をもろに受けてしまう。常に原木高の製品安の状況になる可能性もある。
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