梱包材・パレット材
用途と価格で内外材が混在
ラジアタ松は中国需要に翻弄
我が国は原料を輸入して製品化し、それを輸出するという加工貿易で繁栄した。電機、自動車、鉄鋼など今でも世界中に名前が知れわたる企業群も育った。高度経済成長からバブル経済、失われた10年と日本経済は浮き沈みを繰り返しながら成熟化の道を歩むが、その一方で米国と自動車や半導体などの貿易摩擦を生み、さらにアジア圏では中国を筆頭に製造業が急速に発展した経緯がある。
日本国内の製造業はより高度な技術や高い品質の分野に役割を絞らざるを得なくなったほか、大手日系企業とともに海外に製造地をシフトしていく動きも生んだ。とりわけ5~6年前の1㌦80円台で推移したハイパー円高で産業空洞化は決定的になったと言われ、これによって輸出用木箱梱包や重量物梱包、パレット材などを供給してきた木材関連産業は大打撃を受けて需給が弱ってしまった。
我が国で梱包材・パレット材として実績がある素材はラジアタ松が筆頭。強度とサイズ柔軟性があり、低廉な価格でニュージーランド(NZ)は1958年から、チリは76年から入荷が始まった。ラジアタ松以外にも米ツガなどの米加材、機械等の重くて固いものを梱包する南洋材系なども利用実績を重ねている。最近はより低廉な資材が求められており、さほど強度が必要ない部位やパレット材で国産材(杉、桧等)の需給も拡大している。
NZ産ラジアタ松はもともと日本との貿易関係が深かったが、日本需要の落ち込みとともに2000年代半ばからの中国需要の盛り上がりで供給先が変貌した。中国が16年に輸入したNZ産丸太は1,200万㎥前後で、日本向けはその4%にも満たない44万㎥と大差が開いた。日本側は国内需要が低迷する時や円安になった際に産地価格の値下げを要請するが、中国向け販売量が圧倒的になった現在、日本にだけ安く売ることはない。
逆に中国需給次第で産地価格は上下するようになり、日本の国内需給に関係なく、勝手に産地価格が値上がりするケースも少なくない。この結果、日本の製材工場はコスト高を製材価格に転嫁する以外に道はなくなるが、梱包メーカーの仕事がない状況で値上げを唱えても、良くて値上げ要請分の一部転嫁だったり、悪いと空振りで終わったりする。
梱包メーカー側は用途に応じて木材(ラジアタ松、米ツガ、国産材等)と面材(合板、LVL、OSB等)を使い分けているほか、木材以外にもスチールや強化段ボールなどの非木質資材を織り交ぜて、強度と単価から適切で合理的な梱包作業を請け負っている。価格乱高下を伴う資材は木質、非木質にかかわらず敬遠気味であるほか、この2~3年は木材価格の割高感から、より価格競争力がある木材を求めている。現状価格では、ラジアタ松製材(割板)で4万円前後(問屋着、㎥)、チリ輸入製材(薄板)で3万4,000円前後(オントラ、㎥)、それより割安な杉製材(2次配送)で3万~3万4,000円(問屋着、㎥)で価格的なすみ分けがある。杉は強度が求められないパレット材で特に浸透が進んだが、NZ国内挽き製材工場も一部で杉を挽いており、工場稼働率の上昇や営業品目の拡充につなげている。梱包材市場の変化を追った。
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