2017年 注目の政策
環境対応、省エネ強化、人手不足対策
住宅政策は改めてストック重視型
2017年は米国のトランプ政権の誕生による保護政策的な動きが日本の木材貿易にどう影響してくるかが懸念される。TPP(環太平洋経済協定)の発効の見通しもつかなくなり、米加針葉樹協定の行方も不透明だ。貿易関係ではEUとの経済連携協定(EPA)の交渉も再開され、欧州産製材や集成材の関税撤廃の可能性がある。
こうしたなか、国内の政策では5月施行予定の合法木利用促進法(クリーンウッド法)が木材業界に与える影響が大きそうだ。近く施行令などの詳細が明らかになる見通しで、合法性の担保の責任を登録木材事業者にどこまで持たせるかなどが注目される。住宅会社や建設会社が登録木材事業者になることのメリットが見いだしにくく、登録木材事業者に重い責任を持たせると、木材使用を敬遠することにつながる危険性がある。本末転倒とならいような法整備が求められるところだ。5月施行だが、いまのところは様子見の状態だ。
もう一つは省エネ関係の施策が注目される。2020年の省エネ基準義務化に先駆け、4月1日からは2,000㎡以上の非住宅建築物の省エネ基準適合義務化と300㎡以上の住宅・建築物の届け出が必要になる。住宅で対象になるものは規模的にごくまれだが、木材・建材業界は非住宅建築物への取り組みを進めていることで2,000㎡以上の非住宅建築物へのかかわりは増えてきているので、こうした流れを知ることが必要だ。
住宅関係では施策は空き家対策や既存住宅流通などへ軸足を移しつつある。そのなかでも、中小工務店の長期優良住宅認定の取得を支援する地域型住宅グリーン化事業を17年度も継続する。当初予算は114億円。長寿命型100万円(戸)以外に、高度省エネ型として認定低炭素住宅100万円、性能向上計画認定住宅100万円、ゼロ・エネルギー住宅165万円などがある。地域型住宅グリーン化事業は業界の評価が高く、要望も多い。16年度に8,745戸相当がこの事業で供給されたものと見られる。
既存住宅の流通促進については、住宅ストック循環支援事業がある。若者が自ら居住する住宅として既存住宅を購入するときにインスペクションが実施され、既存住宅売買瑕疵保険がつけられているものなどに50万円の補助を行う制度を実施する。耐震改修を行う場合は65万円まで限度額が引き上げられる。こうした補助を使うことでインスペクションの実施を進め、既存住宅売買時のインスペクション実施の有無を重要事項説明に加えるなどインスペクションの位置付けを強めていく方向にある。17年の注目の政策を見ていく。
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