海外で稼ぐ
資源開発から市場開拓へ
木材・建材メーカーや住宅会社のアジア地区への進出が続いている。日本の経済成長が鈍化し、人口減少期を迎える成熟市場となっているため、新たな成長戦略を描くメーカーにとってアジアは有望な成長市場として期待されている。世界銀行が7月に発表した2016年の世界経済の見通しでは中国の成長率は6.7%に減速する一方で、中国を除く東アジア・大洋州地域では4.8%と前年並みの成長を予測。インドネシア、マレーシア、タイへの投資拡大とタイ、フィリピン、ベトナムでの一時産品価格の低迷がもたらした力強い消費により成長が見込まれる。
以前は日本向けの木材・建材製品の供給拠点として位置付けられていたが、製造・販売を行う海外事業の拠点として、そしてマーケットとしての位置付けが強くなってきた。
それは、住宅会社が積極的に事業を展開し始めたことからも分かる。大手プレハブ住宅会社やデベロッパーだけでなく。地域ビルダーでも海外住宅事業への取り組みが増えている。
また、図面のトレース、CAD入力などの作業の海外アウトソーシング事業も、国内労働力不足から、今後も拡大していく方向にある。業務系の事業は中国からベトナム、ミャンマーなどに広がっている。
建材メーカーはLIXILグループの海外戦略が代表的だが、M&Aの手法で海外建材関連企業の買収を進めて海外事業が一気に拡大した。しかし、中国のジョウユウの不正会計問題発覚では大きな損失を計上し、海外事業の難しさを改めて示した。
資源調達を目的としたものから、マーケットとしての海外事業に移行するうえでは、構造や工法、居住形態などはもちろんだが住生活や文化、宗教の違いまで意識する必要がある。単に日本式の住宅や建材を持ち込んでも販売はできない。
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