決算特集⑤木材専門商社
国産材事業で収益向上
用材から製紙、燃料、輸出まで取り込む
日本製紙木材(東京都、藤澤治雄社長)をはじめとする木材関連事業会社の2016年3月期業績は増収増益から減収減益まで各社様々の結果となった。外材・建材一辺倒から国産材にかかわる事業化が進み業績にも反映し始めた。製材や合板の用材販売のほか、木質バイオマスビジネスに向けた燃料用材(素材、チップ、PKS)や製紙用材のほか、丸太や製材品の輸出などである。このほか、事業母体の性格を生かし、海外事業、不動産、新規開発分野など事業領域を広げる動きが目立っている。王子木材緑化のように、東南アジアでの木材加工を進めるなど商社としての機能を発揮する往年の事業意欲を示す会社もある。
当期資材需要は総じて安定した動きで終始した。合板は、15年初来の過大な在庫が製品安を招き大幅減産を強いられるなど、全体の資材価格高揚に水を差す形となった。後半からは住宅着工が回復軌道に入るなど期待が膨らんだが、今年初からの急激な円高で輸入資材のコストと市場価格の狭間で収益を大きく落とす場面もあった。円安に依存してきた丸太輸出も採算が大きく低下した。その点、為替影響度が少ない国産材の国内販売(用材、燃料材)は堅実だ。総じて製材品は安定、合板用は前半のメーカー受け入れ制限により伸び悩み、燃料用は勢いを増した。
外材の丸太と製品の流れはこれまでと変わらず。丸太は国内需要の減少と採算難から取扱量が減少している。製品も相変わらず低い口銭による販売体質が続いている。
日本製紙木材は増収増益で14年3月期の水準を収益ともに上回る好決算となった。製紙・燃料用チップが62億円と大幅に増加したことが特筆される。国産材丸太販売も62万㎥で住友林業フォレストサービスに次いだ。
王子木材緑化(東京都、大原寛信社長)は増収減益。売上高700億円到達が目前となった。13年は実績勘定がなかったバイオマス燃料が62億円の純増となったほか、製紙原料が117億円増加するなど、用材以外の分野による増加が時代を反映している。
物林(同、淡中克己社長)は減収減益。ただ経常利益は5年前と同水準で過去最高に並んだ。北海道を軸とする国産材営業が強い。
住友林業フォレストサービス(同、鶴澤靖彦社長)は減収増益だが経常利益、当期利益で過去最高を記録した。素材集荷の基盤を固め製材用材とチップ・パルプ用が健闘した。国産材丸太販売は64万㎥でトップ。
江間忠木材(同、中稲八郎社長)は増収増益。ウッドベース、ソレックスを加えた木材関連3事業会社中、安定した収益性を保つ。
阪和興業木材部(同、佐原栄次部長)は取扱量が製品、国産材丸太など128万㎥で過去最高になり、売上高も500億円台に戻した。
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