電子版ログイン

※会員の方はこちらから

 No.2059号

2015年レビュー④商社

収益重視で商い慎重に
中国成長鈍化で3国急減

2015年の主要林産物の貿易環境は、商社が産地価格の居所高、円安によるコスト高を販売価格に反映させることができず、取扱量を自重し慎重な商いを続けた。この結果、収益性は低下したものの、過大な在庫を抱えず評価損を回避することができた。14年4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動で収益が大きく落ち込んだ同年上半期の状況からは脱したが、大きく利益を取り込むまでには至らなかった。

主要木材関連輸入量はいずれの品目も14年実績を下回った。素材分野の丸太、製品合計は1,000万㎥を割り込んだ。04年比では44.6%と半減している。15年の丸太輸入量は04年の3分の1、製品は3分の2に縮小した。輸入コスト押し上げ要因や国産材への素材転換という大きな動きもあるが、産地の供給環境の変化、我が国の輸入資材環境の悪化などが重なったといえる。このため、商社の輸入にかかわる陣容も縮小する傾向が今も続いている。

 合板は生産が前年比1.3%減少したが輸入は17.3%減少するなど、輸入に大きなブレーキが掛かった。リスクはあっても収益面では魅力ある分野だったが、生産国の素材供給事情の悪化やメーカーの生産抑制、価格のブレが少なくなったことによる利ザヤの減少など、これまでのようなダイナミックな取り組みができず、大手のなかにはそうした業務姿勢の見直しを行うところも出てきたためだ。輸入合板が60万㎥余り減少しても、日本市場で特段の供給不足現象が起きなかったのは、合板市場に何等かの構造的変化が起きているため

と受け止められる。輸入合板については皆が縮小態勢に入ったわけではなく、入れ替わりに扱い量を増やす会社もあり、それぞれの思惑がある。

 ただ、明らかなことは、もはや素材や製品の取扱量を追い求めても収益力を確保できる保証が低下してきた。顧客の減少によって本船単位のバルク商いの機会が減少し、配船スケジュールを組むのも一苦労だ。製材品が比較的安定した商いを続けているのは販売先の取扱数量が読め、定期・定量商い循環が比較的構築できたことによる。

 住友林業の木材建材事業、伊藤忠商事・伊藤忠建材、双日・双日建材、住友商事、三井住商建材、丸紅建材、阪和興業、三井物産、物林、日成共益、日本製紙木材、王子木材緑化、天龍木材、瀬崎林業、ナイス、ジャパン建材、丸美産業、ユアサ木材の輸入事業の実績を掲載した。

記事ランキング

日刊木材新聞社 木造社屋紹介動画