森林認証制度
認知向上も製品ニーズ高まらず
環境製品の必要性に浸透希薄
海外で誕生した森林認証制度が、日本へ持ち込まれてから今年で15年が経過した。きっかけは2000年に速水林業が日本で初めてFSC森林認証を取得したことで、その後、日本独自の森林認証としてSGECが作られ、さらに欧米からPEFCも入ってきた。
現在、日本における認証取得状況は、FSCは森林が39万2,878ha、COCが1,069件(15年6月現在)、PEFCはCOCのみで194件(同)、SGECは森林が125万2,793ha、COCが344件(15年7月)となっている。15年間で、一定量の森林認証製品を供給できる体制は整ったと言って良い。しかし一方の需要はというと、認証マーク付き製品を求める需要は、15年前に比べ広がったとは言いがたい。
昨年、FSCジャパンがFSC認証製品の供給能力と実態を調査したところ、日本国内の認証林からの年間出材量は20万4,300㎥だったが、COC認証取得事業者を経由し、FSC認証製品として供給されている量はわずか4,893㎥、全体の2.4%にすぎなかった。さらにこの15年間で、違法伐採対策としての合法性証明制度や、国産材の需要拡大策としての間伐材マークや国産材マーク、各自治体の地域材認証制度など、木材関連の様々な認証制度が出てきたことも、森林認証の差別化要素を薄くしている。
しかし今年に入り、森林認証の価値を変える可能性のある2つの動きが表面化してきた。
一つは、自由民主党の林政小委員会が今年7月に「違法伐採対策の一層の強化に向けた中間とりまとめ」を出したこと。
もう一つの変化は、林野庁が15年度補助事業で森林認証のための予算を計上したことだ。地方自治体が森林組合等の認証取得に補助金を出すことは従来からあるが、国による補助事業は15年目にして初のことだ。林野庁は同事業の背景として、2020年の東京五輪の施設整備に地域材を利用するためには、森林認証材の普及を図ることが重要との考えを示している。
東南アジア、欧州、北米などの森林認証の状況と日本国内の事業者の取り組みなどを取材した。
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