桧市場の変貌
急速に進む波材化
和室減少と大型工場登場
2014年の桧丸太生産高は年間230万㎥で、年々増加している。杉に比べ生長が遅く、主伐期の到来はもう少し先になるが、人工林面積は260万ha(12年3月末時点)に上り、蓄積の主体である6~9齢級が10齢級以上となれば桧素材供給能力は飛躍的に増加する。ただ、需要面では安閑としていられる状況ではない。現状の桧需要を大別すると、一般材を原材料とした土台、柱等の構造材、桧構造用集成材向けラミナ、羽柄材、合板原料と大径木高樹齢選木を原材料とする役柱、造作、建具、ツキ板用材、家庭用雑貨に大別される。
特に厳しい環境にあるのが桧高級材分野だ。これは外材にも当てはまる問題だが、木造に限らず住宅建築様式の変化で真壁から大壁に移行したこと、和室が決定的に減少し、和室造作需要が激減したことが大きい。こうした和室向け高級材需要の減退は、戦前・戦後と全国の桧産地をけん引してきた吉野、東濃(木曽)、高知、岡山といった歴史的な桧製材産地を直撃し、多くの製材工場が撤退を余儀なくされた。林野庁の立木価格調査によると、桧は1980年代前半には4万2,947円(㎥)まで高騰し桧神話を形成していったが、2013年には6,493円とピーク時から85%も下落した。おそらく、かつての価格水準への復活はない。
一般材は西日本各地に桧大型製材工場が多数登場し、KD構造材供給力を大幅に拡大させた。ただ、安定的な桧素材供給体制ができておらず、素材需給の不安定さから来る価格乱高下が桧構造用製材等の価格にそのまま影響する展開となった。消費税率引き上げ前の駆け込み需要で、6万円前後だった桧KD土台(背割りなし、特1等)は高値10万円を超える場面も見られた。増税後は需要反動減で一気に元値に戻り、その後も需要の低迷で5万円台前半から、グリン材に至っては換金売りによる4万円台の安値も聞かれた。
桧KD構造材の価格乱高下に対し、需要家側は供給側の底の浅さを指摘し、欠品と暴騰に対する批判も多く聞かれた。その後の暴落は高値仕入れを余儀なくされた需要者側の反撃といった側面もあり、自信を失った桧量産製材は製品在庫の滞留もあって安売りに走った。
ただ、桧KD構造材は柱、土台ともに特1等クラス(背割りなし)で製材工場渡し5万円前後まで下落した結果、KD土台に顕著だが、競合樹材種に対する圧倒的な価格優位性を獲得している。今後、価格の安定性と絶対的な供給安定性を実現できれば、極めて強い商品になると考えられる。
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