脚光浴びる国内チップ工場㊤
バイオマス需要控え体制整備
山と発電所をつなぐキープレーヤー
木質バイオマス発電所の新設計画林立で木材チップ需給に注目が集まっている。実際に稼働した新設発電所は限定的だが、今後、全国各地でFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を取得した施設が動き出してくる。発電施設ごとに利用する燃料は異なるが、木質バイオマス系は木材チップ(内外産)やペレット(同)などを活用することになる。
木材チップの原料は素材(原木)、工場残材、林地残材、解体材・廃材(建築発生木材)の4つに分けることができる。これまで、木材チップの9割以上は紙・パルプ生産に仕向けられていたが、ここに新たにバイオマス発電所という需要が誕生することになる。現在、燃料用原料としては、製材や合板工場等で発生する端材である工場残材と建設解体材、建築物の解体等で発生する建廃がある。工場残材の大部分は自社工場内の木材乾燥用ボイラの燃料と、製紙や木質ボードといったマテリアル利用向けに外部販売している状況だ。
これら原材料による既存需給はいわば確立されているもので、この枠内に頼って新たなバイオマス需要を賄うことは事実上不可能となる。仮に製紙用が長期的に需要下降曲線を描いたとしても、バイオマス発電用需要の伸びが急過ぎて、需給破綻は目に見えている。このため、国は新設バイオマス需要を担う原材料と位置付けているのが林地残材だ。森林内で年間2,000万㎥発生しているという未利用材を発電所需要の主要供給源に据え、施業集約化や路網整備、林業機械導入などで収集・搬出コストの低減で燃料用素材の安定供給を目指している。
㊤では、東日本の遠野興産、オホーツクバイオエナジー、王子木材緑化、郡山チップ工業、ノーリン、佐藤木材工業、上川北部森林組合、興和林業、北日本索道、門脇木材、栄村森林組合、群馬県素材生協、埼玉木材チップ協同組合、宮の郷バイオマス、トーセンの状況をレポートした。
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