加速化基金を検証する㊦
製材、合板、バイオマスと大型施設整備
森林整備加速化・林業再生基金による国産材加工設備の増強が続いている。04年度からの新流通・加工システム、06年度からの新生産システム供給支援事業に続く国産材の大型工場の整備にこの基金事業が大いに機能しており、11年度3次補正で高知おおとよ製材、12年度1次補正でナイス徳島製材工場、ノダの静岡合板工場、長野の信州・JPOWREプロジェクト(征矢野建材)、中国木材の日向市工場といった大型工場の建設など、ここ1、2年で国産材関連の設備投資が活発化している。新生産システムでは協同組合だけでなく、民間企業に対しても補助対象としたことで画期的なものと言われた。さらに加速化基金では都道府県協議会を通じて、民間企業への2分の1の補助が可能になり、年度をまたいでも使用できる(12年度1次補正は緊急経済対策のため単年度事業)ため、事業者にとっては非常に使いやすいとして、業界の評価は高い。木材自給率の向上、すなわち増産が前提にあることで、計画では規模の拡大が必須要件になっている。国産材の産地間競争の激化を招くものとなるか、外材や木材以外の需要を獲得できるものになるかが、今後の評価にかかわっていきそうだ。
新たな商品開発を進め、木材自給率を高めていくことで、森林整備の促進、国土の保全へつなげていくことが求められている。基本的には生産量の増加につながる事業が選定されているため、国産材の生産拡大につながっていくが、そこで既存の事業者を圧迫しないような配慮が求められる。協議会は都道府県単位で設置されていることで、都道府県内の需給には配慮されるが、大型工場の場合は素材調達、販売の両面で県をまたいでいることが多く、地域への影響が大きいため、今後は、ブロック単位などより広域での調整が必要になるのではないか。
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