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 No.1923号

国産材の可能性を追う

環境素材として認知進む
技術革新と円安が後押し

森林・林業再生プランで2020年に木材自給率50%にする目標を農林水産省が設定し、これに向けて様々な施策が実施されている。国産材を使うことが環境に対する配慮というイメージが定着しつつあり、再生プラン以降、森林・林業が成長分野としてマスコミで取り上げられることも多くなっている。

 これまでは、イメージ先行の面が強かったが、ここにきて為替1㌦100円台が定着してきたことで最大の課題だったコスト面での問題が大きく変化した。間柱や集成管柱などWウッドから杉に樹種転換しても品質・性能面で代替えが可能なで問題ないものから切り替えが進んでいる。梱包材、パレットの分野でも西日本を中心にラジアタ松から、杉への転換が進んでいる。強度では劣るものの、ラジアタ松製材の値上げが進んでいるため、重量梱包以外の分野では杉を利用するケースが増えている。

 輸入材が軒並み為替によるコスト分が上乗せされ、産地側の事情で供給量が限られている分野では国産材の出番が増えてきそうだ。また、国産材の資源的な状況から杉30㌢以上の太目材の丸太を使った商品開発として横架材が注目され、国産材による2×4工法用のディメンションランバーも、最大の課題だったSPFとの価格差が縮小してきた。圧密加工などの新たな技術を活用して、新分野へ市場を求める動きも活発だ。杉・桧などの針葉樹はこれまで、軟らかく家具などの分野では使いにくい素材だったが、加工技術を駆使して杉材を使ったソファなども商品化されている。

 フロア台板も国産針葉樹を使用しながら表面平滑性を確保できるような取り組みがなされてきた分野だ。

 もっとも期待を集めているのがCLT(直交積層材)で、今年度中にはJAS化される見通しだが、そのなかで長期低減係数までが告示化されるかはまだ分からない

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