2012年回顧㊤ 樹種別、産業別
省エネ・創エネ・バイオマスで過熱
建材好調も木材不振
甚大な被害をもたらした東日本大震災から1年9カ月が経過し、震災直後の混乱からは立ち直った観がある。この震災で業界にもっとも大きな影響を与えたのは、やはり東電福島第1原発事故だろう。これがエネルギー政策に大きな議論を呼び、再生可能エネルギーの比率を高めて行く施策が導入された。
未利用木材などの木質バイオマスも再生可能エネルギーとして位置付けられ、固定買取制度(FIT)で未利用木材が当初の想定より高値で買い取られることになったため、木質バイオマス発電への関心が急速に高まった
エネルギー問題は住宅などの建築物にもかかわっており、省エネ法の改正、認定低炭素住宅の創設など、基準強化の方向にある。住宅購入者も省エネ性とFITによって太陽光発電を搭載するのはもはや当たり前といってもよく、スマートハウスも商品化され、住宅会社では太陽光パネルを標準搭載する動きが広まっている。また、今年は住宅では、地域型住宅ブランド化事業にも注目が集まった。
住宅需要は、震災後の落ち込みから立ち直り増加基調にある。消費税率引き上げが決まり、駆け込み需要に備えた動きも出始めている。住宅需要の恩恵を受けたのは大手プレカット会社で、前年比2割増で受注を伸ばすところもある。その一方で価格競争が激化しており、中小手のプレカット工場は収益面で苦戦を強いられた。
木造住宅の市場が中・長期的には減少に向かうことは間違いなく、高齢者施設やこども園など非住宅建築物の木造化による新たな需要を期待し、非住宅分野への取り組みが目立つようになってきた。大断面集成材と特注金物を使った大規模木造から、一般流通材を組み合わせ、トラスなどの構法を用いて安価に大きな木造建築を実現しようという取り組みも始まっている。
新たな市場として期待されるのは、中古住宅・リフォーム市場で、国土交通省では2020年までに市場を倍増させるプランを策定、必要な保険やインスぺクション、情報提供などの基盤を構築していこうとしている。
2012年の各分野で振りかえった。
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