中国木材の研究
時流に沿って事業展開
樽屋から総合木材企業への変身
我が国最大の木材加工会社、中国木材(広島県呉市、堀川保幸社長)。内外材製材はもとより、集成材、プレカットで事業を拡大し、今日ではバイオ発電でも多角化を展開するなど総合木材企業の頂点に位置する。
中国木材は時代の変化を先読みし事業形態を変え、新規事業を取り込んできた。同社は13年5月で設立60年を迎える。戦前は吉野材を仕入れて酒や醤油樽を製造していたが、容器の変化によって事業継続を断念した。製材の廃材や林地残材を利用して東洋パルプ向けのチップ事業へ転換したのが1953年である。輸入チップとともにソ連(当時)からパルプ用材を仕入れていた同社の動向に注目して67年には瀬戸内で唯一のカラ松製材を展開した。月間1万㎥を超える最大の北洋材製材会社となったが、商社を介在したエクスポートレスとの管理貿易と素材入手の不安定さから、ウェアーハウザーと直接取引契約を経て83年に米松大型製材会社に変身する。阪神大震災を契機に乾燥材の量産化を展開した。これを派生させて集成材事業に参入する一方、住宅資材流通の核となると見てプレカット5カ所でプレカット工場を運営する。米松と杉ラミナを混成した異樹種集成材を率先的に製造する一方、2004年から国産材製材にも乗り出し現在5カ所で事業を展開する。
堀川社長は、木材加工事業は素材の安定確保と製品の販売網の整備にあるとして、専用バースを建設し専用船を運用した輸送経費の削減する一方、配送センターを各所に設け、短納期配送で顧客への要望を満たすという高機能流通を展開している。
かねてよりバイオ発電に取り組んできたが、東日本大震災を契機にバイオエネルギー分野を強化し、14年秋には3カ所で4万6,000kWと木材産業界でも最大の発電能力を持つ会社となる。中国木材の全体像に迫った。
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