2011年レビュー④合板・ボード、欧州材
震災が合板市場を直撃
欧州材はユーロ安で市場拡大
2011年の木質パネル(合板と木質ボード)供給量は886万㎥で、前年比6.5%増となった。供給数量は3年連続の増加となるが、木質ボード(繊維板、削片板)は内外産で前年比増加となったものの、合板は輸入合板が増加したが、国産は前年割れとなった。
昨年3月11日、東北・太平洋沖を震源とする大地震が発生した。南洋材丸太を原料として発展してきたわが国合板産業は、港湾設備が整った沿岸部に工場が立地していたため、この大津波で壊滅的な被害を受けた。繊維板や削片板という合板端材や周辺地域で発生する木質資源の有効活用を図る工場にも甚大な被害をもたらした。
その後の合板需給がひっ迫するとの見方が沸き上がった。他の木材製品と同じく合板も当用買いが一般的で、当面の在庫を確保しようとして大量の仮需が発生し、市中の合板不足を誘った。特に、極端な動きは輸入合板だった。震災後の不足感で構造用を筆頭に大量発注が起こり、マレーシア、インドネシア、中国、北米、南米とJAS取得工場を中心に新規手当てがまとまった。
2011年の欧州産針葉樹製材の入荷量は、248万4,500㎥で前年比8.9%増加した。300万㎥前後の入荷があったリーマン・ショック前には遠く及ばないが、08~09年の200万㎥水準を抜け出し、入荷回復への手応えが出てきた。前年比での入荷増に加え、ユーロ安で価格競争力が高まりによって他材を圧倒し、日本市場では入荷増を上回る衝撃を持った。
同時に、11年は欧州産地への影響力も強まった。10年はドイツの需要が堅調で、欧州域内を盛り上げたが、11年はギリシア金融危機を発端に域内需要が低迷した。さらに、北アフリカの政情不安から、年中盤で需要に陰りが見られた。産地にとって主力市場である欧州と北アフリカの需要がともに減退し、日本市場の存在を押し上げた。
今回は、合板、木質ボードそして、欧州材の11年を振り返った。
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