競争力のある素材生産業者
生産性高め山主へ還元
素材の安定供給が課題
ここ数年、国産材業界は、政策的な支援と、それを受けて住宅会社などでも国産材を使うことが環境面でのアピールになるという好循環につながり、合板、製材品、集成材の分野で市場を拡大してきた。公共建築物等木材利用促進法の施行、長期優良住宅促進法のなかにも国産材という文言が入るなど、法的な後押しもあるが、昨年後半からの円高が逆風となり製品価格は、欧州材や米材などとの競合にさらされ頭打ちになっている。一方で大型製材工場の建設などが活発で素材需要は増加傾向にあり、原木高・製品安の様相を呈してきた。
欧州のWウッド集成管柱と競合する杉集成管柱、杉KD柱角などは、Wウッド集成管柱の値下がりで頭を抑えられる傾向があり、Wウッド間柱の安値に杉間柱も価格を抑えられている。大手住宅会社、ビルダーなどでも、国産材の使用を見直す動きが出てきており、国産材使用率を引き下げるところも出てきた。
こうした外材との価格競争に対して、国産材業界に求められているのは、素材の安定供給と素材生産コストの低減だ。山主に収益が残るような価格でなければ安定供給にはつながらず、本来は素材価格を引き上げて山主還元を進めていくことが、森林・林業の再生につながるはずだ。
しかし、原木高・製品安が続けば、体力のない中小製材工場の経営を圧迫して、各地で動き出している地域材供給による木造住宅のネットワークが崩壊していく危険性もはらんでいる。多額の補助金を投じて建設してきた大型製材工場も、採算の悪化が危惧される。
国産材の素材生産は、山主に収益を還元でき製品は外材と競争可能な価格水準で供給しなければならないという難しい状況になっており、北海道、東北、北関東、東海、関西、四国、中国、九州の各地の素材生産業者の取り組みを取材した。
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