木材・建材会社のバイオマス発電
期待高まる再生可能エネルギー
熱・電創造で新たな事業モデル
東日本大震災による福島第1原発の事故を契機に原子力発電に対する社会の不安が噴出し、地震のリスクが大きい中部電力浜岡発電所だけでなく、各地で定期点検により停止した原発の再稼働に地元自治体の合意が取れずに原発が停止する事態が相次いでいる。
原発に対する不信感が高まる一方で、再生可能エネルギー特別措置法が成立し、太陽光や風力、地熱などに加えて木質バイオマス発電による電力も全量買い取り制度の対象になることで、木質バイオマス発電に対する需要が拡大していくことが見込まれている。
木質バイオマス発電は、専焼発電の場合で1万kWの発電を想定すると設備投資は約45億円、必要になるバイオマス資源は乾燥状態で10万㌧、丸太換算では1.5倍の量が必要になるという。電力会社が混焼で使う場合は、その量は膨大なものになる。
木質バイオマス発電で、未利用の林地残材などが資源として活用されるようになれば、森林整備の促進につながり、また大手の製材工場や合板、集成材工場などでは製材端材などを燃料にバイオマス発電を行い、同時に熱源を生かして木材乾燥にも利用できるため効率が良い。バイオマス専焼発電が採算に乗りにくいのに対して、木材関係の工場では熱利用までが見込めることで最近の大型工場ではバイオマス発電設備を導入するケースが多い。また、製材、加工の過程で乾燥した端材を安定的に提供できることからも素材調達面でも有利になる。
実際に中国木材鹿島工場に隣接する神之池バイオエネルギーでは2万1,000kWの発電能力があり22万㌧のチップを消費して、中国木材へ4万440MWhの電力供給と電力会社へ8万5,000MWhの売電を行っている。大型製材、合板工場などが木質バイオマス利用で、好条件にあることが分かる。
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