断熱材
4月、住宅の省エネ化の今後の方向性を定める重要な法律と制度が打ち出された。
建築物への省エネ基準義務化を目指す「建築物省エネ法」と2020年までに受注する住宅の50%以上をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とする目標を掲げる住宅会社を登録する「ZEHビルダー登録」の制度だ。
今回の特集ではZEHで関心の高まる断熱材を紹介する。
アクリアで外皮性能強化を提案
旭ファイバーグラス(東京都、柳川 匡史社長)は2007年に業界でいち早くノンホルムアルデヒドの高性能グラスウール「アクリア」を販売。その後、家1棟分の仕様をそろえ、超高性能品やリフォーム専用品、非住宅用と品ぞろえを拡大し、住宅向けではアクリアシリーズが約66%を占めるまでに浸透してきた。
ノンホルム製品を全国発売
パラマウント硝子工業(福島県須賀川市、佐久間茂社長)は、6月、ノンホルムアルデヒドの高性能グラスウール断熱材「ハウスロンZERO」を全国発売する。新商品は、バインダー(接着剤)に食品や医療品などに使われる原料を使うことでノンホルム化を実現した。
独自のパッシブハウスに関心急増
マグ・イゾベール(東京都、フランシス ショレー社長)は、近年関心が高まっている住宅の高断熱化について、独自のパッシブハウスであるマルチコンフォートハウス(MCH)の提案という形で、業界に先駆けて推進に取り組んできた。
ノンホル品へ切り替え完了
輸入建材を扱う和翔商事(東京都、大内俊明社長)は6年前から韓国の化学品・建材メーカーKCCが製造するグラスウールの輸入販売を手掛けている。当社は断熱材の輸入品は稀だったが、6年間の安定供給の実績が認められ、すっかり日本市場に浸透した。
2×6向け軸に厚手化進む
ニチアス(東京都、武井俊之社長)は、住宅用ロックウール断熱材「ホームマット」シリーズの製造・販売を行っている。2013年11月に新ラインが稼働し、製造可能な品目が増えたことから採用のチャンスが広がり、14、15年と販売は着実に伸びている。
「厚物アムマット」順調
住宅用ロックウール断熱材「アムマット」で知られるJFEロックファイバー(岡山県倉敷市、木口満社長)は、2020年の省エネ義務化に向けた需要ニーズに対応するため、製品ラインアップの拡充を行い、年明けから厚さ140と155㍉の厚物マットの製造・販売を開始した。
パーフェクトバリアリフォーム強化
エンデバーハウス(大阪市、米田賢一社長)は、ペットボトルをリサイクルしたポリエステルを原料とする健康断熱材「パーフェクトバリア」を扱う。同商品は、省エネ対応から高密度商品に人気があり、同社は断熱リフォームの強化を図っている。
床用断熱材パワードライ販売好調
コスモプロジェクト(東京都、坂本哲也社長)は、福岡県の自社工場(ISO9001認証)で一貫した品質管理の下に製造した断熱材を販売している。なかでも2015年5月に発売した床用断熱材「パワードライ」は、時間とコストを大幅に削減するなどの特性が受け入れられ、全国のビルダーや住宅会社からの採用件数が増加している。
ZEHソリューションを提案
化学メーカーのカネカ(大阪市、角倉護社長)は、押し出し発泡ポリスチレン断熱材「カネライトフォーム」シリーズを製造し、子会社のカネカケンテック(東京都、堀江康則社長)が販売している。同シリーズでは省エネ基準対応の「スーパーE-Ⅲ」が販売の主軸だが、同品より断熱性能が15%高い「スーパーEX」の比率が、3年前の発売以来右肩上がりで推移し、2015年度も前年度比2倍以上の伸びとなった。
高性能品、西日本でも拡大
ダウ化工(東京都、杉山隆博社長)は押し出し発泡ポリスチレン断熱材「スタイロフォーム」シリーズの製造・販売を行っている。省エネ基準対応では、主軸のⅢ種b品のスタイロエースⅡのなかで基準対応の65㍉厚の割合がここ数年徐々に上昇し、住宅向け商品群の50%を占めるようになってきた。
プレカット対応力で新規開拓
JSP(東京都、塚本耕三社長)は、押し出し発泡ポリスチレン断熱材「ミラフォーム」シリーズの製造・販売を行っている。業界でいち早く、断熱性能の高い製品の開発やフルプレカット化に取り組んできた点に強みがある。
基礎回りから徹底的に防蟻断熱
ダイナガ(大阪市、小原孝之社長)は、構造住宅の基礎回りを完璧に防蟻断熱する防蟻基礎断熱工法「オプティアンチターマイトシステム」(白アリ防除システム)について、2015年11月から10年間保証を開始した。
屋根・壁・床へオールウレタン提案
アキレス(東京都、伊藤守社長)は、硬質ウレタンフォームでボードと吹き付けの2タイプをそろえ、充填と外張りの2種類の施工法で、屋根、壁、床のオールウレタン断熱を提案している。
厚物品、省エネ基準対応で倍増
旭化成建材(東京都、堺正光社長)が製造・販売するフェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」と「ジュピー」は、世界最高レベルの熱伝導率0,020W/m・Kという高い断熱性能を持つ。2014年に稼働を始めた新工場からの出荷も軌道に乗り、稼働前に比べ全体の出荷は1,2倍まで伸びてきた。
吹込み式断熱“アクアブロー”販売開始
日本アクア(東京都、中村文隆社長)の2015年(1月~12月)の住宅施工棟数は3万6230棟(前年比11、3%増)、建築向けは2万2193戸(同25,2%増)といずれも大幅な伸びとなった。今期も拡大路線を維持する計画だが、原油安による原料安効果も収益に貢献しそうだ。
ZEH対応へ高性能品開発
BASFINOACポリウレタン(愛知県新城市、井上雅之社長)は、国内の硬質ウレタンフォーム原液メーカーとして40年以上の歴史を持ち、現場発泡吹き付けの需要を開拓してきた。同社の木造住宅用の現場発泡吹き付け断熱材は、硬質ウレタンフォーム「フォームライトSL」。専門業者が専用機械で吹き付けるため気密性に優れ、省エネ基準に対応する断熱性能を発揮する。
現場発泡のウレタン発売
ダウ化工(東京都、杉山隆博社長)は、住宅向けの断熱材として新たに現場発泡の吹き付けウレタンフォームの販売を開始した。新製品の硬質ウレタンフォーム「スタイロスプレーフォームR」は一般的に木造戸建てで採用されている吹き付けウレタンに比べ、断熱性能が約50%向上したもの。
リフォームに最適な2液タイプ
エービーシー商会(東京都、佐村健社長)が販売する断熱材「インサルパック」シリーズは、50年以上の実績を誇る断熱材や気密性、接着性に優れたロングセラー商品だ。商品構成も1液タイプが4種12品目、2液タイプは3種5品目と他に類を見ない圧倒的な種類と品目を誇っている。
新JIS取得の木質繊維断熱材
木の繊維(札幌市、工藤政利社長)が製造・販売する木質繊維断熱材「ウッドファイバー(WF)」は、環境先進国ドイツの生産技術を使い北海道産針葉樹を原料にした環境保全や地球温暖化防止に最大限考慮したエコロジーな断熱材だ。2009年10月からWFの製造・販売を開始し、現在は北海道から九州まで商品を供給している。
外皮計算サポート、ユーザーに定着
野原産業(東京都、野原数生社長)は昨年3月、省エネ基準対応に必要な外皮性能と1次エネルギー消費量の計算を代行する「外皮計算ドットコム」のサービスを開始した。計算の依頼から計算結果の取得まで、一連の作業がすべてホームページ上で行える利便性が特徴で、開始から1年が経過し、繰り返し依頼する固定ユーザーが定着してきた。
記事ランキング
- 横浜エコロジー 木質チップ工場で事故
- 11月のプレカット調査 受注伸びず前月比割れ
- ナイス 27、28日に「木と暮らしの博覧会」
- 大成建設 軽量・リサイクル容易な木質耐火部材
- 坂詰製材所とフォレストノート 県産杉と桧の「新潟ケンシンHB材」
- 10月の住宅会社受注 高価格帯の動きは継続
- 大和ハウス工業 国内戸建ては販価上昇、分譲比率高まる
- ロシア産アカ松タルキ輸入製材品 上級品が小幅安
- 越智産業 大型物流拠点を熊本に建設
- BXカネシン 木造で開発試験センター新設
日刊木材新聞社 木造社屋紹介動画