金物工法
本紙が集計した金物工法供給動向によると、13年は住宅市場が好調だったことで金物工法で供給された住宅は単純合計で月間1万4515戸(前年比7・2%増)、非住宅物件は年間1042棟(同2・2%増)といずれも増加した。ただ、木造の着工数が前年比13・4%増えていることで伸び率としては下回った。開発は一巡したかに見えたが、現在も次々と新たな商品が開発され、需要者ニーズに合致したものとして供給されている。
木造建築の金物供給に特化、非住宅物件は設計支援に徹する
カナイ(埼玉県八潮市、金井亮太社長)は木造住宅の建築現場を見つめながら、建築金物の企画、開発、設計から製造、販売に力を注いでいる。「オリジナル工法やブランド化は考えておらず、住宅会社や中大規模木造を設計施工する企業への金物設計、供給に特化し、表に出るよりも設計開発や建築金物の供給支援に徹したい」(金井邦夫常務)と語る。
発売3年で月間300棟に到達、加工拠点は42工場に
タナカ(茨城県土浦市、田中司郎社長)は金物工法「SSマルチ」の月間供給棟数が前年の200棟から300棟超に拡大してきた。プレカット加工拠点が前年の35工場から42工場に増え、供給体制が拡充されたこと、金物工法同士で差別化を図りたいビルダーのニーズを取り込んだことなどが寄与したと見られ、引き続き加工拠点の充実と供給拡大を目指している。
非住宅へTS金物の採用を、大規模建築に構造設計サポート
カネシン(東京都、吉田孝志社長)は中大規模木造建築物向けの梁受け金物「TS金物」を開発した。TS金物の受注は加工工場や地元ゼネコンからの発注が大半で、実際の金物納品はプレカット工場が多い。13年は15棟前後の中大規模木造建築にプレセッターやTS金物が採用された。「老人ホームやデイサービスセンター、公民館など年々実績は増えている」(同社)。
自由度高い木造建築を実現、部分ラーメンなどに対応
グランドワークス(富山県滑川市、大倉憲峰社長)はHSフレームシステムで国土交通大臣の認定を取得し、「構造計算WEBサービス」を通じて、これまでになかった木造ラーメンフレームの使い方を提案している。関連会社の一級建築士事務所、アンラインズ(同)の提供するWEBサービスに登録し、各種認定をプランや規模など住宅会社の要望に応じて構造計算を行い、コストなども勘案して最適の構造を提案できる。
狭い敷地をフル活用、車単位生産で効率上げる
SE構法を専門にプレカット加工を行うカナモク(神奈川県座間市、中村豊社長)は昨年夏ごろから受注が増加しており、現在は早出、残業対応で月間45棟分の加工をこなしている。工場面積800坪で、構造材45棟分、羽柄材は20棟分強の加工になるが、限られた敷地を打鵜工活用すべく、「車単位生産」という加工方式を採用している。
金物利用で木造の可能性追求、サミットHR主力に多様な設計対応力
三井住商建材(東京都、植木啓之社長)はサミットHR、サミットスーパーHR、サミットBRの3工法で金物を利用している。主力のサミットHRは、構造用集成材といった木質部分の接合部にRC造などで用いられる亜鉛メッキを穂d越した異形鉄筋(D25、D19)を貫通させ、エポキシ樹脂を充填、凝固させることで接合部を強固なものとしている。
高い耐震性、全棟構造計算への信頼も、中大型木造建築でも積極提案
すてきナイスグループのパワービルド(京都市、勝間田清敏社長)が推進するパワービルド工法は独自開発した高性能専用金物と強度性に優れた構造用集成材や機械等級区分構造用製材を組み合わせることで、阪神大震災の1・25倍の地震動加速度にも十分に耐えられることを実大耐震性能実験(土木研究所)で実証している。
P3+で大空間実現、非住宅も低コストで
タツミ(新潟県見附市、山口紳一郎社長)は金物工法でシェアNo.1を誇るテックワンをはじめ、耐久性や耐震性に優れる様々な建築金物を世に送り出している。一般住宅はもとより、需要が高まっている大中規模の木造建築分野でも業界をリードしている。
並外れた強度と耐久性、解体後の再利用も難なく
原工務店(山口県防府市、原孝夫社長)が開発したハラテック21に用いられるダグタイル鋳鉄はマンホールのフタやエンジンブロックなどに使用され、過酷な条件に耐える高い耐久性と耐衝撃性を備えている。そのダグタイル鋳鉄にジオメット防錆処理を施し、国内メーカーのアイシン精機で製造される1スリットの金物は厚さ6㍉の肉厚の形状で高い信頼性を有している。
ハイブリッド工法増で対応力強化、オリジナル梁受け金物を展開
東海地区の大手プレカット業者であるスカイ(静岡県磐田市、高橋幸嗣社長)は梁受け部などの仕口欠損問題に対応する金物として、オリジナル梁受け金物「スカイジョイント」を展開している。採用物件は2013年実績が月間92棟で、特に非住宅物件は年間実績320棟以上となるなど引き続き採用率が伸びている。
非住宅分野のニーズ拡大中、ムク材対応金物「ウッドテック」
ウッドワイステクノロジー(浜松市、齋藤幹一郎社長)は、ムク材対応の木造接合金物である「ウッドテック」と工法として金物+落とし込み間仕切りパネルを使う「TERRA(テラ)構造」、ラーメン構造の「ウッドワイスラーメン構法」を展開している。ウッドテックでは先ごろ、建物基礎との緊結力を向上させる柱脚金物を新たに追加し、需要対応力や施工性を高めた。
K3相当の防腐・防蟻性能を、金物・同工法と相性良い乾式保存処理
保存処理木材製品製造販売大手のザイエンス(東京都、田中隆行社長)は住宅資材としては日本で初めて2×4材をはじめとした板材にK3相当の高い防腐・防蟻性能を持たせる技術を確立、本格的に需要開発に乗り出した。第一弾として2×4貸家供給最大手である大東建託が使用する住宅土台用に、K3相当の防腐・防蟻米松2×4、2×6の供給を開始した。
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