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断熱材

省エネ規制加速で断熱必至
昨年、建築物の省エネ基準義務化を目指す「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」の施行に合わせるように、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の登録制度が開始されたことで、住宅の省エネ対応は避けて通れないものとなっている。
省エネの基本は、建築物の温度変化を抑えること=断熱だ。一次エネルギー消費を抑えるためにも、断熱は必須だ。断熱材の種類は多い。性能はもとより、適性や使用感といった製品特性もさまざまだ。建築物の断熱を考えるうえで、こうした商品特性や供給事情を把握しておく必要はあるだろう。断熱材特集では、断熱材商品をはじめ、断熱システムや支援事業などを紹介する。

チヨダウーテ

施工性と安全性両立したグラスウール断熱材

 

チヨダウーテ(三重県三重郡、平田晴久社長)は先ごろ、施工性と安全性を両立した環境対応型のグラスウール断熱材「アースウール」のバリエーションを拡充した。これまではビルやマンションの耐火遮音間仕切壁に使用されるロールタイプのみを販売していたが、4月にグラスウールをポリエチレンフィルムで包んだ住宅用のパックタイプ3種を追加。チヨダウーテでは今後もアースウールの商品ラインアップを拡充する方針で、床下用や寒冷地仕様の投入も検討する。

旭ファイバーグラス

高い技術力で省エネに貢献

 

旭ファイバーグラス(東京都、柳川匡史社長)は、国内でいち早くノンホルムアルデヒド(ノンホル)のグラスウールの開発に取り組み、「アクリア」シリーズで、日本のグラスウール市場におけるノンホル化の流れを生み出した。  さらに近年、繊維径が約3ミクロンの高性能グラスウール「アクリアα」を開発し、同シリーズで床や壁、天井など住宅1棟分の対応を可能とした。高い技術力で、日本の住宅の温熱環境の向上や省エネに貢献している。

和翔商事

独自提案で新需要の開拓進む

 

和翔商事(東京都、大内俊明社長)は、韓国・KCCが製造するノンホルムアルデヒドのグラスウール断熱材「Natur(ネイチャー)」を販売し、非住宅向けでグラスウールのノンホル化の流れを作り上げた。  和翔商事は、KCCからネイチャーを輸入し、国内10拠点の倉庫に製品を自社で在庫することで、安定供給を実現している。  従来の屋根向け断熱材だけでなく、内装材としての需要も拡大している。さらに、昨年からKCCのロックウールの輸入販売を本格的に開始し、断熱材の商品群を一層充実させている。

エンデバーハウス

リフォーム向けの受注が増加

 

エンデバーハウス(大阪市、米田賢一社長)は、ペットボトルをリサイクルしたポリエステルを原料とする健康断熱材「パーフェクトバリア」を扱う。衣類・容器分野に活用されてるポリエステルを特殊技術で立体成型加工したもので、発砲系断熱材や鉱物繊維断熱材に替わる建築・工業用断熱材だ。  省エネ対応から高密度商品に人気があり、ZEH対応の商品ラインアップ強化による高機能な「スタンダード13K・R3・1」やリフォーム対応の「断熱・防音マット」を打ち出している。

マグ・イゾベール

充実の商品群で高断熱化後押し

 

マグ・イゾベール(東京都、フランシス ショレー社長)は、充実した商品群で、住宅の高断熱化を後押ししている。多様な需要に応えるため、「ポリカット」や「ポリカットR2.2」、「マグオランジュ」、「マグラムダ」など幅広い商品を展開している。  ポリカットR2.2はポリカットに比べワンランク上の高性能品。ポリカットから切り替えるだけで、省エネ基準(断熱等性能等級4)適合仕様に対応することが可能だ。コストを抑えながら断熱性能の向上に寄与する。

パラマウント硝子工業

ノンホル商品の展開充実

 

パラマウント硝子工業(福島県須賀川市、佐久間茂社長)は、ノンホルムアルデヒドの高性能グラスウール断熱材「ハウスロンZERO」シリーズに密度10Kを追加し、ノンホル商品の展開を充実させた。独自にホルムアルデヒドを含まないバインダー(結合剤)を開発し、商品のノンホル化に成功した。ガラス繊維が本来持つ風合いの白色系で、ちくちく感の少ないソフトな手触りを商品特徴に持つ。  世界的に健康や環境に配慮した商品が求められるようになってきているが、同シリーズはこうした流れに呼応して、グラスウール断熱材のノンホル商品需要にいち早く対応したもの。

ニチアス

ロックウール断熱材の製品開発力が光る

 

ニチアス(東京都、武井俊之社長)は、ロックウールの断熱性能や吸音・遮音性に加え、700℃水準まで寸法変化が小さいという防火・耐熱性に着目。柱や梁の巻き付け耐火被覆材「マキベエ」を開発し、非住宅向けで出荷を伸ばしている。  昨年から、ビル向けの「MGビルパック」の出荷が伸びている。ロックウールをマット状に成形したパック(梱包)品で、新たに幅3030㍉を展開したことで、ホテルなどの耐火遮音間仕切りとしての採用が進んだ。  木造戸建て住宅向けの「ホームマット」シリーズは、2×6向け(140㍉厚)や140㍉、155㍉厚など、製品展開を拡充した。

 

JFEロックファイバー

厚物志向へ万全の体制

 

住宅用ロックウール断熱材「アムマット」で知られるJFEロックファイバー(岡山県倉敷市、木口満社長)は2020年の省エネ義務化に向けた取り組み強化を図っている。2016年年明けから厚さ140㍉と155㍉の厚物マットの製造・販売を開始した。200㍉を超える要望にも対応できるように2枚重ね用の「アムマット」100㍉をラインナップするなど万全の体制を整えた。 最近では集合住宅の界壁に使用できる「建築用ログセラム マット」の販売も順調だ。

アイティエヌジャパン

優れた調湿性能で防露認定を取得

 

アイティエヌジャパン(奈良県大和郡山市、齊藤勉社長)が輸入販売する羊毛断熱材「ウールブレス」は2013年省エネ基準に対応し、高性能グラスウール16Kに相当する優れた断熱性能を有する。最大の特徴は高い調湿性能、吸音性、難燃性を持つことで、耐久性能にも優れる。  シックハウスの原因となるホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)を繊維内に吸着・固定させ、再放出させない性質や、発火しにくく、延焼もしにくい特徴もある。

吉貞

彩の国ウッドファイバー在庫販売を開始

 

木材建材販売大手の吉貞(群馬県高崎市、吉田貞裕社長)は今年度から、埼玉県産の杉を原材料としたウッドファイバー断熱材の製造及び在庫販売を開始した。同社熊谷営業所倉庫に在庫し、買い方販売店を通じ、地場ビルダー、工務店向けに邸別供給していく。同事業では、「さいたま県産木材認証事業体」による製造・流通連鎖を構築し、原産地の明らかな県産材を原材料に展開していく。

ダウ化工

知名度高い「スタイロフォーム」シリーズ

 

ダウ化工(東京都、有友完社長)が製造・販売する押出発泡ポリスチレンフォーム「スタイロフォーム」シリーズは、世界的な化学メーカーであるダウ・ケミカルの技術を用い、1962年から国内製造を開始。引き合いの多い「スタイロエースⅡ」、断熱性能がエースⅡより高い「スタイロフォームEX」、超高性能品の「スタイロフォームFG」(同0.022W/m・K)を主力に展開している。 近年は、充填断熱と外張り断熱とを組み合わせる付加断熱工法で引き合いが伸びている。

カネカ

ソリューション提案に強み

 

カネカ(大阪市、角倉護社長)は押し出し法ポリスチレンフォーム断熱材「カネライトフォーム」シリーズを製造し、100%子会社のカネカケンテック株式会社(東京都、堀江康則社長)を通じて販売している。  住宅向けでは、「スーパーE-Ⅲ」を主力に、同商品より性能の高い「スーパーEX」と「スーパーFX」を展開。FXは、高性能住宅を中心に採用の拡大が進んでいる。  同社は太陽光発電システムや蓄電池など創エネ商品も展開しており、ZEHやHEAT20に向けたソリューション提案を加速させている。

JSP

床・壁のフルプレカットを開始

 

JSP(東京都、酒井幸男社長)は、断熱材の板状製品でプレカットの流れを生み出した先駆者だが、今年から床・壁のフルプレカットを開始する。  同社は、押し出し法ポリスチレンフォーム断熱材「ミラフォーム」シリーズを製造・販売している。板状製品の特性を生かし、約10年前から先駆けてプレカットに取り組み、実績やノウハウを蓄積してきた。  さらに、住宅の高断熱化を見越し、09年には「ミラフォームλ(ラムダ)」を業界でいち早く開発・販売を始めるなど、開発や施工面で業界をリードしている。

旭化成建材

体験型ショールームで性能を訴求

 

旭化成建材(東京都、堺正光社長)は、使用部位や必要な断熱性能に合わせ「ジュピー」、「ネオマフォーム」、「ゼウス」の3シリーズを製造し、多様な市場ニーズに応えている。  戸建て向けでは、断熱材メーカーとして初の試みにも挑戦している。茨城県猿島郡に体験型ショールーム「快適空間ラボラトリー」を開設。同社が製造・販売するネオマフォームを用いた施設で、「ネオマの家」と名付けられた体験棟では宿泊体験が可能だ。

アキレス

断熱と遮熱を両立、夏場のオーバーヒートを抑止

 

アキレス(東京都、伊藤守社長)は、今秋に「ジーワンボード」の発売を予定し、高性能硬質ウレタンフォーム断熱材のボード品を3品目に拡充する。これにより、同社が展開する現場発泡吹付けタイプと合わせ、提案力を一層広げていく計画だ。  硬質ウレタンフォーム断熱材のボード品では、「アキレスボード」と「キューワンボード」を製造・販売している。これに加え今秋に、建築用断熱材で業界最高水準の断熱性能を持つジーワンボードも発売する。  キューワンボードは表面にアルミ泊材を施すことで、断熱性だけでなく遮熱性を付加。断熱+遮熱を提案し、高断熱住宅を進める住宅会社や工務店などで採用が伸びている。

ダイナガ

住宅基礎から徹底防蟻断熱、10年間保証も

 

オプティフォームを主力とするEPS防蟻断熱材製造販売大手のダイナガ(大阪市、小原孝之社長)は、基礎から徹底的に防蟻断熱する工法が評価され、設計関係を中心に引き合いが増加している。  同社では、木造住宅を、土壌や基礎から1回壁回りまで完璧に防蟻断熱する防蟻基礎断熱工法「オプティ・アンチターマイト・システム」(防蟻基礎断熱工法)を開発、同工法で施工された木造住宅等に対し10年保証を開始した。同社の規定に基づき施工された物件に対し、シロアリがオプティ商品を貫通して建物が損傷をこうむった場合、上限500万円まで10年保証する。

一村産業

ゲリラ豪雨にも対応する断熱材を展開

 

一村産業(石川県金沢市、藤原篤社長)は、自社製造品のビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材「MSフォーム」シリーズに加え、建材商社としての総合提案に強みを持つ。ビーズ法ポリスチレンフォームは、耐水性の高さに強みを持つ。このため、同社の「MSフォームUB」は、浴室回りの基礎断熱材として需要を伸ばしてきた。  近年、施工現場ではゲリラ豪雨など突発的に防水対策が求められるケースが増している。こうした事態に対応する商品として、自社の異形成型技術を生かした「MSフォームFW」を開発した。

日本アクア

快進撃続く、木造戸建て向け施工戸数11%の伸び

 

現場吹付け硬質ウレタン断熱材でシェア首位の日本アクア(東京都、中村文隆社長)の成長は衰えず、16年12月期の木造戸建て向けの施工戸数は4万971戸(11・4%増)と大幅な伸びとなった。  販売面では、オゾン層破壊係数ゼロでかつ、断熱性能により優れるアクアフォームNEOの販売を強化する。また、技術本部品質管理課を新設し、品質パトロールカーで製品・施工両面の品質管理に当たっている。品質管理担当者は施工現場を抜き打ち訪問し、正しい施工が行われているか等を検査する。 今年3月にはIBEC(建築環境・省エネルギー機構)から現場施工型の優良断熱施工システム認定も取得した。

ダウ化工

ウレタン現場発泡品を拡充

 

ダウ化工(東京都、有友完社長)は、現場発泡吹付け硬質ウレタンフォーム断熱材「スタイロスプレーフォーム」の商品群を拡充した。  同社は、木造戸建て住宅向けに「スタイロスプレーフォームR」、鉄筋コンクリート造向けに「スタイロスプレーフォームB」を展開。このたび新たに冷凍・冷蔵倉庫向けに「スタイロスプレーフォームC」を追加し、本格的に販売を開始した。これにより、全ての建築物向けに対応した形だ。  スタイロスプレーフォームシリーズは、ダウ・ケミカルの技術とダウ化工の断熱技術の実績が融合したもの。スタイロフォームとの組み合わせることで、建築物の高断熱化を容易に実現することができる。

BASF INOAC ポリウレタン

ZEH対応へ高性能品発売、従来比で性能35%上昇

 

BASF INOAC ポリウレタン(愛知県新城市、井上雅之社長)の硬質ウレタンフォーム「フォームライトSL」は、専門業者が専用機械で吹き付ける断熱材で、高気密・高断熱の木造住宅づくりを実現する。ZEHへの関心が高まってきたことを踏まえ、同社は昨年、ZEH対応品として「フォームライトSL-50α」を新発売した。フォームライトSLと同じ厚みで断熱性能が35%アップする高性能が特徴で、躯体の構造を変えることなくZEH仕様へ性能を向上できる。また、より一層高い断熱性能を求めるビルダーには、室外側へ同じ硬質ウレタンフォームのボードタイプを外張りする付加断熱仕様の提案も可能だ。

エービーシー商会

リフォームで2液タイプ好調、気密補修用も引き合う

 

エービーシー商会(東京都、佐村健社長)が約50年間に渡り販売実績を重ねている断熱材が「インサルパック」シリーズ。最近の売れ筋はリフォーム向けの2液タイプと気密補修用(主に1液タイプ)の2つ。  2液発泡ウレタンはA液(イソシアネート)とB液(ポリオール)の熱反応で発泡し数分で硬化する。この2液タイプでリフォーム作業時に使い勝手が良いのが商品名「#180」。ボンベタイプで持ち運びが容易な製品となり、築30~40年の木造戸建やマンションなどの部分施工で強みを発揮する。

ハネウェルジャパン

発泡剤HFOを唯一供給、断熱性向上に寄与

 

ハネウェルジャパン(東京都、エリック・ワグナー社長)は、ノンフロン発泡剤HFO「ソルスティス(Solstice)LBA」を製造・販売している。世界的にフロン規制が強化されるなか、HFOの製造に成功しているのは現在、世界で同社だけ。  画期的な点は、ノンフロン発泡を叶えるだけでなく、従来のノンフロン発泡剤に比べ25%も断熱性能を向上できることだ。これにより、現場発泡吹付けタイプの断熱性能を飛躍的に引き上げた。  さらに、地球温暖化係数(GWP)が1と、代替フロン(HFC)に比べ格段に低い。加えて、不燃性のため、現場の安全性を十分確保することができる。

野原産業

外皮計算からBELSまで温熱環境切り口に支援充実

 

野原産業(東京都、野原数生社長)の外皮計算代行事業「外皮計算ドットコム」への問い合わせ件数や受注が伸びてきた。外皮計算は、省エネ基準の義務化により、全ての住宅で必要となる。同社の外皮計算ドットコムは、業務依頼から納品までをWEB上で完結でき、下院登録を済ませれば、必要に応じて外出せずに気軽に利用することができる。  さらに、外皮計算のみの「シンプルプラン」のほか、一次エネルギー消費量の計算を加えた「パッケージプラン」の2プランを展開。物件や予算に応じた業務依頼が選択可能だ。

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