強度表示木材・トラス
非住宅中・大型建築の木造化が推進されるなか、機械等級区分構造用製材や木質トラスの生産拡大に向けた取り組みが活発化している。中・大型物件といっても、現状は大断面集成材より一般流通材で建てられる物件が多い。強度性能の明らかな機械等級材なら構造計算しやすく、大スパンでもトラスで比較的容易に実現できる。
最近はそれぞれの特徴を生かし、機械等級材では大径材を生かしたムク大断面材、トラスでは鋼材との組み合わせで超大スパンを実現する新工法など、木造の可能性を大きく広げる開発も活発化し始めている。
機械等級製材のJAS認定増加
全国木材検査・研究協会(全木検、東京都、後藤隆一理事長)がまとめた3月末時点での製材等のJAS工場認定数は492となり、このうち機械等級区分構造用製材の工場認定数が69と5年間で30増加した。
カナダツガで大スパントラス開発へ
カナダツガ・パートナー協会は構造設計1級建築士の渡邉須美樹氏(木構堂社長)と連携し、カナダツガの高い強度性能を生かした大型建築向けの大スパントラスの開発に取り組んでいる。一般のプレカット工場で加工できる断面寸法のムクの製材で最大15㍍までの大スパンを実現するのが目的で、既に設計仕様は開発済み。協会では早期に実大試験を実施し、実用化につなげたい意向だ。
非住宅向けが3割強
ランバーテック(埼玉県蕨市、斉藤一男社長)のトラスの生産量は月間900坪規模で、関東圏での生産では三井ホームコンポーネントに次ぐ規模を誇る。生産量のうち600棟が2×4戸建て住宅向け、300棟が店舗や畜舎、高齢者施設などの非住宅向けだが、ここ5年ほどは、非住宅向けの受注の伸びが顕著だ。
JISトラス対応のオプション発売
インテグラル(茨城県つくば市、柳澤泰男社長)は、木造校舎のJIS A3301の改訂に合わせて構造ソフト「ホームズ君構造EXトラスオプション」を昨年12月に発売している。 同社は中大規模木造プレカット技術協会(PWA、稲山正弘代表理事)の会員で、構造計算ワーキンググループ(WG)に参加し、JISトラスの構造計算の仕方を検討してきた。既にJISトラスのキングポストトラスはソフト販売している。今後はPWAで開発を進めていく平行弦トラスや片流れトラスの標準化を進めており、これを取り込んでいく予定だ。
木造トラス提案で利用後押し
構造計算事業を展開する東昭エンジニアリング(横浜市、夏目正来社長)では、杉や桧のムク材を利用した構造計算の依頼が増えている。 同社では、地域材や国産材活用の流れを受けたものと見ているが、部材の等級区分が明確であることは、構造計算の前提になると指摘する。
杉KD平角の認知拡大
二宮木材(栃木県那須塩原市、二ノ宮泰爾社長)は、月間6000立方㍍弱の原木を製材する大手国産材メーカー。10年以上前から杉KD平角の需要拡大に取り組み始め、当初は月間2~3棟分だった販売実績が、現在では月間3000立方㍍弱の製品生産のうち、平角が1~2割を占めるまでに伸びだ。
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