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構造用集成材 200万㎥超す市場に成長

 木造戸建て住宅の高機能・高性能化に伴い、構造躯体の品質や精度重視の流れが加速している。こうした流れに呼応して、住宅部材でのエンジニアードウッド(EW)、特に、構造用集成材の採用率が高まった。
 集成管柱や集成平角を中心に、いまや日本の構造用集成材の市場規模は、内外産を合わせて200万立方㍍を超すまでとなっている。
 今回の特集では、主に日本の集成材メーカーの今を紹介する。
協和木材

 杉集成管柱、月産4,000㎥へ

 

 協和木材(東京都、佐川広興社長)は今月から福島県塙町の集成材工場を従来の2交代(一部3交代)から完全3交代に切り替え、杉集成管柱の月間生産量を従来の3,000立方㍍から4,000立方㍍へ引き上げた。山形で今秋試運転を開始する新工場のスタッフ研修が目的だが、円滑な稼働開始に向けて販路開拓を図る狙いもある。新工場のJAS取得は来春の見込み。生産開始後は塙工場の生産量を3,000立方㍍へ戻し、2工場で6,000立方㍍を目指す。

ウッティかわい

 国産材利用を効率化

 

 ウッティかわい(岩手県宮古市、澤田令社長)は14年までに製材、乾燥設備を増強し、構造用集成材の生産能力を月産1万立方㍍水準まで引き上げた。需要の伸び悩み、競合の激化などから昨年の生産量は同6,000~7,000立方㍍水準にとどまったが、今年は3月までの平均が7,000~8,000立方㍍と上向いており、引き続き拡大を見込む。14年に稼働したバイオマス発電(5,800kW)、関連会社によるLVL生産との連携を強化し、国産材の競争力強化、販路拡大につなげる。

二ツ井パネル

 ニーズに合わせて生産

 

 二ツ井パネル(北秋田市川井・鈴木稔社長)の生産量は月産2500立方㍍。Wウッド・Rウッド集成管柱生産が主体で、東日本一円の商社及び大型プレカット工場などに販売している。

宮盛

 セット売りで活路を

 

 集成材メーカー大手宮盛(南秋田郡五城目町・伊藤信悦社長)の集成材生産量は、WウッドおよびRウッド主体で月産6,200立方㍍。このうち国産集成材はカラマツ及びスギを使用したハイブリット集成平角を含めて、スギ集成管柱、カラマツ集成管柱など約1,000立方㍍生産している。

片桐銘木工業

 愛知県内唯一の大断面JAS認定工場

 

 片桐銘木工業(名古屋市、片桐信介社長)は、愛知県愛西市ほかで公共施設等の非住宅物件や住宅向けの大、中、小断面構造用集成材を生産している。受注生産体制で1本からの加工・販売に対応しており、現在の構造用集成材の加工量は月間約50立方㍍だ。

 

翠豊

 全国規模で加工・建設を手掛ける

 

 翠豊(岐阜県加茂郡、今井潔志社長)は、大断面構造用集成材やムク材を使った木材加工や建設業務のほか、林業、製材、乾燥、EW材調達など幅広く手がけている。非住宅木造化の流れは加速しているが、「新国立競技場の設計見直し問題等の影響で、コスト意識が一層重要になっている」(今井社長)と話す。

オホーツクウッドピア

 道内外の大断面物件製品を製造

 

 協同組合オホーツクウッドピア(OWP、北海道北見市、中原雅之理事長)は、道内外の公共物件や民間企業等の大型構造建築向けの大断面の構造用集成材の製造を得意としている。また、小・中断面の構造用集成材製造では、地場産材を積極的に活用しているのも特徴だ。注文については、完全受注生産で対応している。

下川フォレストファミリー

 道内で唯一、乾式防腐土台を生産

 

 下川フォレストファミリー(北海道上川郡、山下邦廣社長)は、5月で会社設立3年目を迎えた。14年5月に下川町森林組合(同、阿部勇夫組合長)の集成材加工事業を譲り受け、構造用集成材の販売や造作用集成材の加工販売、土木・建築資材のくん煙処理木材の製造販売などを行っている。

東北通商

 地元東北木材に乾燥機

 

 木材乾燥機メーカーのパイオニア東北通商(本社秋田市・青木聰社長)は、昨年、能代市の 東北木材(工藤隆夫社長)に、同社製の木材乾燥装置SDM✕1200SL1基(高温乾燥機)、SDM✕140DFX2基(中温乾燥機)、重し、ボイラーより乾燥機連結配管工事、ドレン回収タンク3、大気テクノ蒸気ボイラー及び定量装置1式、大気テクノ樹皮乾燥設備1式を設置した。

中国木材

 日向集成材工場が稼働

 

 中国木材(広島県呉市、堀川智子社長)の構造用集成材工場は伊万里工場(佐賀県伊万里市)、郷原工場(広島県呉市)、中・大断面の鹿島工場(茨城県神栖市)に加え、日向工場(宮崎県日向市)の集成材工場が完成し杉集成管柱の試運転を開始。4月から本稼動に入った。  日向集成材工場では、顧客の要望に応じた乱尺製品を供給する。サイズは105㍉角を中心に120、90㍉角、長さは2.85㍍ほか2・6~3・1㍍に対応を図る。4月は1,000立方㍍、6月2,000立方㍍。順調に売れ行きが伸びれば、秋から2シフトに入り、年内に月間5,000立方㍍を目指す。なお、全体で杉集成管柱の3月販売量は5,000立方㍍を見込んでおり、日向工場の稼働に合わせて販売強化を図った。

 

銘建工業

 集成材の総合メーカー

 

小断面8,000~8,500立方㍍、中断面1万4,000立方㍍、大断面500~600立方㍍と月間生産量が集成材のそれぞれの分野でトップクラスを誇る銘建工業(岡山県真庭市、中島浩一郎社長)。  横架材に使用される中断面のラミナの樹種はほぼ全量Rウッド。昨年はH・シュヴァイクホファー(オーストリア)から輸入したRウッド集成平角を専売で取り扱い、国内生産の製品と組み合わせた販売を開始。サイズは長さ4㍍、梁背300㍉まで限られるが、月6,000~7,000立方㍍規模で東日本を中心に供給した。今年は現地の生産体制を強化し、月8,000立方㍍、年間10万立方㍍になる見通し。

サイプレス・スナダヤ

 製材、集成材、CLT一貫製造の新拠点

 

 構造用製材、構造用集成材大手のサイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市、砂田和之社長)は、米ヒバ、桧小断面構造用集成材(同一等級構成)のJAS工場認定を取得しており、強度区分はE105F345。Eレーテッド構造用集成材のJAS工場認定も取得している。またFSC、SGECのCOC認証も有する。独自にシロアリ被害、集成材剥離に対する10年間品質保証も行う。構造用集成材の生産規模は米ヒバが年間2万4,000立方㍍、桧が2万2,000立方㍍で、米ヒバ及び桧構造用集成材製造では国内最大手だ。

院庄林業

 邸別出荷比率高まる

 

 院庄林業(岡山県津山市、武本哲郎社長)の構造用集成材の直近の生産量は、小断面・中断面合せて月間1万2,000立方㍍ほど。小断面4割、中断面6割の比率だ。  用途別には梁桁の横架材が60%、柱26%、土台が11%を占める。 ラミナは樹種別にRウッドが75%、Wウッド17%、桧は7%。桧とRウッドを組み合わせた異樹種集成材「エコジャパンウッド」も製造している。近年、住宅会社かの要望でRウッド、Wウッドの梁材にE120のヤング係数を求める注文が増えている。そのために強度の高いラミナを安定的に調達する体制を整えて対応している。

ザイエンス

 土台出荷の集成、KD比率72%に

 保存処理木材製品製造販売大手のザイエンス(東京都、荒井浩社長)の今年度上半期防腐防蟻土台出荷に占める集成、KD材比率は72%と70%台まで上昇してきた。集成、KD防腐防蟻土台の主力となるのは、同社が開発したOP深浸潤処理木材保存処理方式だ。木造住宅土台部位の集成、KD化到来を予想して、水を使用しない油溶性木材保存薬剤サンプレザーOP-Cの生産能力拡充を進めてきた。

オーシカ

 CLT対応の接着剤開発

 接着剤メーカーのオーシカ(東京都、宮本博信社長)は構造用集成材向けの水性高分子-イソシアネート系接着剤(水ビ)とレゾルシノール樹脂接着剤を製造販売し、水ビの国内シェアは6割以上だ。国内に3工場(オーシカケミテック草加工場、同名古屋工場、同水島工場)、海外では中国・大連とインドネシア・ジャカルタにそれぞれ工場と販社を有している。名古屋工場のケミホルツ事業部では防蟻防腐系の薬剤を製造する。

 

STSテクノウッド

 ラミナ取得率高め増産

 STSテクノウッド(ロシア沿海州、ビフロフ・A・A社長)は2015年、製造工程を見直すことで、エゾ松集成管柱の生産量を前年比で20%方引き上げた。直需と問屋の双方に商流を築き、製品も市場に定着した手応えだ。  同社は、住友商事との合弁企業であるチェルネイレスの傘下で、エゾ松集成材事業を展開している。近年は、エゾ松集成管柱を主力に2万立方㍍を生産していたが、15年はこれを2万4,000立方㍍に拡大した。

大野製材所

 高強度直尺製品に特化

 

 高強度や長尺材など別注集成材を得意とする大野製材所(兵庫県姫路市、大野義人社長)は昨年末、米松による小中断面構造用集成材JAS、E―150、F435(異等級対称構成)とE―150、F465(同一等級構成)を取得した。需要の伸びる非住宅向け構造材ニーズに対応するもので、高強度材の供給強化で設計の自由度向上を提案する。  生産量は平均400立方㍍で、直近実績では500立方㍍に伸びている。自社生産は別注の長尺材や高強度材に絞る一方、既製品は仕入れて在庫。邸別にアセンブリして提供している。

秋田グルーラム

 地域産材の比率上昇

 

 秋田グルーラム(畠山智社長)の生産量は年産7,500立方㍍。樹種別では、昨年度は米松・Rウッド65%、国産材35%の割合だったが、今年は地域産材が増えたために、スギやカラマツの需要が増え、米松・Rウッド55%、国産材45%と差が縮まった。

櫻井

 生産量過去最高の12万㎥

 

 構造用集成材メーカー大手の一角を担う櫻井(奈良県吉野郡、櫻井信孝社長)は、小断面を主力生産する本社吉野工場と中断面を生産する五條工場で生産体制を構築。この1年の製造実績は過去最高となっており、小断面は6万立方㍍、中断面も6万立方㍍で、合計12万立方㍍の生産規模となっている。幅広い寸法材の即納や化粧貼り集成柱が特徴で、プレカット工場と強いパイプを持っている。

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