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日刊木材新聞 創刊70年記念セミナー ~激動の時代を生き抜く~

日刊木材新聞は9月8日、創刊70年記念セミナー「激動の時代を生き抜く」を開いた。億田正則大建工業社長、喜多村円TOTO社長、市川晃住友林業社長の3人が講演し、会場には業界関係者など約140人が参加した。3人の講師は、それぞれに70年、約100年、320余年の会社の歴史を踏まえ、これから訪れる住宅産業を取り巻く激動の時代に、更なる飛躍を遂げる成長戦略を語った。

億田正則大建工業社長

 過去にとらわれず変化

 

 1945年9月26日に前身の大建産業の全事業を継承する形で大建木材工業として分離独立したのが、当社のスタートで、今年70周年を迎えた。創立当初の戦後復興期に事業の成長を支えたのが特殊合板で、この技術が床材などの住空間事業につながっていった。58年にインシュレーションボード事業に乗り出し、のちのルート販売の原点となる販売体制を確立した。建築基準法改正で建材の不燃化が求められたことに対応して、64年に不燃天井材「ダイロートン」事業を始め、この時作った施工体制が現在の大建エンジニアリングの原点となった。70年代に総合住宅資材メーカーへと発展を進めたが、90年代以降は景気低迷、新設住宅着工戸数激減に直面し、選択と集中に舵を切った。具体的には、水回りや屋根材、外装材、合板から撤退する一方で、リフォーム向け販売や海外拠点の拡大、産業資材分野やエンジニアリング市場への進出を行った。今後は、建材だけでなく素材の供給から施工・工事まで手掛ける、住宅に限らず公共・商業建築分野や産業資材分野まで幅広く展開する、国内に囚われず海外へも展開していく必要がある。10年後の国内市場での方向性を考えると、新築住宅市場では、質的な要求を満たすための研究開発が求められていく。リフォーム市場では、省施工製品の開発や材工受注の拡大が重要になる。さらに、公共・商業建築や産業資材へも進出することで、新築需要一辺倒の状況から脱していきたい。以前は建材、木材、流通など各プレイヤーの役割や機能の境目がはっきりしていたが、現在、境目は従来通りではなく重なり合い、業態変化や企業連携が多くなっている。異業種参入も含め、今まで無関係に見えていた企業や業界との間に、新たなビジネスチャンスが生み出される時代においては、新しい眼を持ち新しい一歩を踏み出していく必要がある。

 

喜多村円TOTO社長

 選ばれ続ける良品を供給

 

 当社は2017年度に創立100周年を迎える。大倉和親初代社長の「良品の供給、需要家の満足これこそが全てであり、利益は後からついてくる。利益を先に追うべきではない」との言葉を創業の魂として受け継いできた。初代社長は、清潔で快適な生活を支える商品を作りたいとの思いから、下水道がなかった約100年前に日本で初めて水栓洋式便器を作った。ユニットバスも1964年の東京オリンピックに合わせて、ホテルニューオータニの短工期にあわせるために当社が日本で初めて開発した。また、衛生陶器は水栓金具とセットでこそ十分な機能を果たすとの考えから、1946年に水栓金具を作り初めた。当初は赤字だったが、この技術の応用が自動的に流れるトイレや節水シャワーなどの開発につながった。当社の商品は20~30年に1回しか買ってもらえないものが中心。20~30年後にまたTOTOの商品がほしいと思ってもらえなければ次の100年は存在しない。そのために、常に品質を保ち顧客を決して裏切らず、良品を供給し続け、アフターサービスも含めて期待に応えていかなければならない。さらに、全国に5000店舗あるリモデルクラブ店では、顧客の気がつかないところまで気を配り、20~30年間満足して使ってもらえる商品の提案に取り組んでいる。当社は、中国、アジア・オセアニア、米国、欧州へ進出し、現地生産も行っている。「良品の供給」を基本として、現地のニーズに合わせることはもちろん、現地のメーカーが作れるものは作らないことを方針にしている。営業活動は現地でそれぞれ行っているが、今後は、日本での快適なトイレ体験を、現地での購入促進に結びつける国内外の連携強化が重要となる。訪日外国人が増えるなか、おもてなしの一環としてトイレを綺麗にすることは、同時に、当社のウォッシュレットや綺麗を保つ技術を伝える場となる。

 

市川晃住友林業社長

 課題解決型であり続ける

 

 当社は1691年の創業以来、山林事業を基礎に木材建材事業や住宅事業、木質バイオマス発電事業など、木を軸に川上から川下まで総合住生活事業を展開している。幅広い事業展開は、当社が時代の要請に応え、課題解決型企業であり続けた結果といえる。その根底には、創業者の言葉を受け継いだ、「商売は利益を追求するのは当然だが、商売を成立させていくには、社会や人のためになる大義をしっかり見据えることが大切」、「自分の利益、他人の利益、そして公の利益は全て同じ」という住友の精神がある。現在の住友林業の始まりは、1691年に愛媛県の別子銅山を開坑し、銅山運営に必要な大量の木材のため周辺の山を購入したこと。1894年から、荒廃した山林再生のため「大造林計画」をスタートした。第1次世界大戦後に本格的な林業経営に乗り出し、第2次世界大戦後は外材の需要に応えてフィリピン材、米材、NZ材と取り扱いを拡大した。一方で、荒廃した山林の再生も進めた。1970年代に入ると住宅の量的・質的向上の要請に応え、注文住宅の請負事業、工務店の直営化、建築技能者の育成に着手していった。80年代後半にプレカットとCAD/CAMを全国規模で導入し、先駆的に構造材として集成材を採用していった。また、独自の部材や構法の開発も進めた。住宅事業は、近年は海外でも販売棟数と収益力が順調に伸びている。このほか、リフォーム市場の開拓や有料老人ホーム施設運営などの生活サービス事業も拡大してきた。住宅政策が質的な向上を目指す方向に変わるなかで、今後ハード面とのバランスを考えつつ、ソフト面の充実を実現していく。国産材利用については、中大規模木造建築の普及推進やバイオマスエネルギー事業を推進している。さらに、300年以上にわたるノウハウを生かし、川上から川下まで効率的な山林運用を支援する森林コンサルティング事業も行っていく。