2×4コンポーネント
2×4住宅の需要動向は、賃家物件の好調さに加え、工法の気密性などが評価されて戸建て住宅も好調さを保っている。2012年の2×4住宅の着工数は、10万7,487戸(前年比9.4%増)と4年ぶりに10万戸を超えた。 近年は、職人不足の影響で、パネルでの施工を検討する住宅メーカーも増え、多くの企業がパネルの増産に併せた体制を強化している。
加工は北海道と新潟の2拠点、協力工場増産で復興需要も
王子木材緑化(東京都、宮﨑治夫社長)の2×4コンポーネント事業は、工場のある北海道と新潟の2加工拠点が主体。だが、10月からは協力会社であるヤマウチ(岩手県宮古市、山内英彦社長)の工場が増産体制を築いたことで、2年前に設置した仙台営業所でも復興関連需要向けに2×4パネルの供給を行っていく方針だ。
パネル化率が5割を占め、トラスや在来金物工法にも対応
ランバーテック(埼玉県蕨市、斉藤一男社長)はトラスも製造する数少ないコンポーネントの一つであり、かつ在来金物工法の加工も行うなど守備範囲は広い。また、特徴的なのはパネル率の高さで、加工棟数のうちパネルは約5割を占める。パネル加工については、パネルがまだ一般的ではなかった15年前から事業参入し、技術を磨き、ノウハウを蓄積してきた。折からの職人不足でパネル製造への依頼は高まっており、同社工場はフル稼働、加工依頼が引きも切らない状況だ。
需要の変化に対応し、生産出荷体制を増強
三井ホームコンポーネント(千葉市、渡部一廣社長)は、2×4コンポーネント工場の最大手ながらも、変化する2×4住宅のコンポーネント需要の動向にあわせ、更なる能力アップを図っている。工場加工度アップに向けて、工場に3次元カットソーを導入するとともに、大型木造物件に対応するためトラス加工では、大型プレスを設置して4本のトラスを同時加工できるようにした。さらに各工場において、パネル比率の増加と2トン車での輸送増加を踏まえ、パネルに使用するラックの増設を図った。
生産性を高めサービス向上、更なるカイゼン活動を
長谷川萬治商店(東京都、長谷川健治社長)は、館林事業所(群馬県)と仙台工場の2拠点で2×4コンポーネント事業に取り組んでいる。3年前からカイゼン活動に取り組み、特に2×4パネル製作は機械化が難しい労働集約型の事業のため独自の生産方式を生み出し、生産性を高めてきた。特に今期は館林事業所のパネル生産ラインのレイアウトを変更し、材料投入から組み立て、搬出を一連の流れで効率良く流せる仕組みに変更した。
ディメンションランバー販売でトップ、生産拠点3ヵ所、引き合い好調
ウイング(東京都、羽山英男社長)はディメンションランバーの販売量で国内トップの規模を誇る。生産拠点は、白井工場(千葉県白井市)、福岡工場(福岡県糠屋郡)、昨年3月に開設した東北営業所(宮城県多賀城市)の3拠点。東北営業所ではパネル加工を行っているが、復興需要もあり、引き合いは好調に推移している。カナダバンクーバーには、関連会社のウイングインターナショナルを保有しており、産地の情報をいち早く取り入れることができる点で業界に一歩先んじる。
千葉工場新設で生産能力向上、非住宅物件も積極的に受け入れ
三菱地所住宅加工センター(千葉市、吉津耕次郎社長)は、先ごろ昨年から建て替えを始めた千葉工場の工事が完成し、生産の能力をアップしている。同社の生産拠点は、千葉工場(千葉市)、大阪工場(大阪府貝塚市)の2カ所。パネルの増産にも力を入れている。近年は、三菱地所ホーム向け以外の一般市場からのコンポーネント需要の受け入れも多くしている。むろん、老人ホームやグループホームなどの非住宅の物件も、積極的に受け入れている。
高精度なパネルに評価、新設備稼働で増産図る
テーオー小笠原(北海道函館市、小笠原康正社長)木材事業部函館支店(橋本直人支店長)の2×4コンポーネント事業は09年に開始、以後順調な引き合いを追い風に開始間もないなか今年が設備増強も着手し、直近は残業対応にも終われるなど、年内はフル生産の見通しだ。6月から操業を開始した新ラインは、クロスカットと墨付けを自動で行うもので、高まる需要への安定供給に貢献している。
新鋭カットラインを導入、生産性が大幅に向上
江間忠ホームコンポーネント(東京都、藤井豊社長)は埼玉県と千葉県に2工場を保有しており、関東一円を商圏としている。今年7月に、千葉県野田市にある千葉工場にフルプレカットの加工機を導入し、フルプレカットの加工を行えるようにした。生産性が大幅に向上し、生産精度の向上と同時に、コスト低減を実現した。今年7月に千葉県野田市にある野田工場にフルプレカットの加工機を導入し、両工場でフルプレカットの加工が行えるようになった。
大型物件の受注が伸長、工事部の受注も増加
佐藤木材工業(北海道北斗市、佐藤久幸社長)の2×4事業は同社函館本社(北海道北斗市)が手がけ、全量パネル供給を行っている。今年の春先から受注が増加し、一部残業対応などによって1シフト能力以上の供給を続けている。消費増税前の駆け込み需要などが背景にあるが、高齢者施設の受注増も要因となっている。3年前から各事業所に工事部を設け、現場基礎から組み立て、各種工事までの受注を請け負っている。高品質が保たれ、事業の見通しも立てやすいと好評だ。
得意先工務店の受注力強化がモットー、設備貸し出しが好評
田島木材(北海道北斗市、田島義光社長)は建材と製材品販売の2本を柱としており、製品販売の付帯事業として2×4パネル工場の設備貸し出しを行っている。最近は月8棟程度と引き合いを伸ばしている。設備はクロスカットソー、パネルソー、釘打ち機、1軸モルダー、4軸モルダーとクレーン。加工パネルの現場配送は同社が手がける方式だ。現金仕入れによるリーズナブルな価格に努める豊富な製品在庫と、休日でも要望次第で開放する使い勝手の良い機械設備が売り。
高精度パネルに定評あり、フルプレカットも増える
北関東パネルシステム(群馬県渋川市、佐藤秀樹社長)は、床・壁・屋根のフルパネル化に対応している。複雑な物件を得意とし、熟練技術者が建て方まで行ってニーズに対応している。最近はフルプレカットを依頼される件数も増えている。都心部でパネル搬入ができない物件などが多く、職人不足や工期短縮から造作材や階段等の加工も依頼されている。パネル加工は高精度の仕上がりで得意先からの信頼が厚く、特に複雑な物件などは同社を頼ってくるケースが多い。
豊富な在庫で信頼を構築、ランバーコアが伸びる
アジアトレーディング(群馬県前橋市、金井英康社長)は、2×4資材、ランバーコア、DIY商品、木製品(イーゼル、額縁等)の直輸入販売を行っており、豊富な在庫量と自社トラックによるきめ細かな配送でニーズに応えている。2×4資材はカナダや北欧からドア・ツー・ドアで提供している。前橋市内に2カ所の倉庫があり、常時2,000立方㍍の在庫量を確保してニーズに対応している。2×4コンポーネント工場をはじめ、販売店からの引き合いも多い。
ラインスピード高めつつ品質を維持、さらなる生産性向上を
セイホクビルド(東京都、及川静一社長)の茨城事業所(茨城県古河市)は一連の設備投資を終え、今後は加工品質を維持・向上しながらいかに時間当たりの生産性を高めるかを課題に据えている。同事業所は昨年5月、高速カットソーと大型コンプレッサーを導入し、省力化と部材カット能力を引き上げた。新型カットソーは、カット効率が従来機と比較して約2倍強に跳ね上がったほか、センサー付で部材の実寸を瞬時に読み取り、材長や欠点をチェックできる。
一貫したプラント提案力、他社に先駆けてソフト開発
日新興産(東京都、原口博光社長)は2×4工法がオープン化される以前の1971年から、パイオニアとして2×4部材加工機械の開発に取り組み、今日まで各種専用機械を設計・製作している。最近開発された機械のうち「スーパーオートカットソーH型」は、204~614㍉までのあらゆる材(集成材)を高精度で従来機種の倍以上の高速で切断する。
省スペース、低予算の万能機、メーン機種で年10台ほど納入
工場ラインの設計・製作を得意とする内外工業(広島市、三浦公司社長)は近年、小スペースで低予算の万能機を開発し、特に2×4関係で好評を得ている。3次元カット機の「マルチアングルカットソー」はCAD/CAM連動で2×4はもちろん、在来羽柄プレカットも可能だ。2×4では床・壁・屋根のフルプレカットが可能で、TJI302にも対応する。
大阪、東京拠点に在庫販売、欧州産、Wウッド材供給ソースも充実
カナダ産SPF、欧州産Wウッド製材輸入のシー・エル・エス(兵庫県尼崎市)は大阪、東京、千葉、川崎、名古屋、博多に常時製品在庫を置き、先物、現物双方の取引条件に対応している。同社の安定供給力と大阪、東京を中心に展開する在庫の現物販売は木材建材流通だけでなく、2×4コンポーネントも頼りにしており、特に今年の品不足局面では、問い合わせが相次いだ。現在は輸入量、在庫量ともに絞っているが年内には月間2,000~3,000㎥の輸入に戻す。
2×4土台の多くがOP米ツガKD、構造用面材浸漬方式も
ザイエンス(東京都、田中隆行社長)は2×4住宅用土台、壁等のパネル、構造用面材木質部材納付防蟻処理最大手の一角で、土台については同社が開発した水を使わない油溶性木材保存薬剤サンプレザーOP-C(AZE)を深浸潤させる乾式防腐防蟻処理方式が大半を占めるようになっている。OP保存処理製品は、独自形状にインサイジングされた材料に、全面超噴射処理装置で油溶性保存薬剤を低圧噴射処理し、さらに注薬缶で空圧、減圧処理を施し材料の内部まで薬剤を浸潤させるもので特許も取得している。
受注増加で高速カットソーを増設、今後は非木造、大型物件にも注力
グリーンハウザー(宮城県仙台市、小村亨社長)は1973年の設立で、地域に密着し国内外の住宅建築用木材・建材をより経済的かつ安定的に供給することを目的として40年近く事業展開している。2×4加工を行う大衡事業所は、約8年前から加工を開始した。昨年10月に高速カットソーを増設した程度で受注増に対応している。現在では首都圏2×4アッセンブル工場のトップクラスと肩を並べる程の生産効率となった。
業務の効率化求め鹿嶋へ移設、特殊加工も自在にこなす
すべての工程を自社責任で行う安心の生産体制を実施している高橋木箱製作所(東京都、嶋田貫一社長)は、9月に茨城事業所(茨城県稲敷市)の機械設備や従業員、CAD関係などを鹿嶋事業所(茨城県鹿嶋市)へ集約・移設した。中部地域の大門事業所(愛知県岡崎市)と北関東を含む首都圏向け鹿嶋事業所の2拠点が、ツーバイフォー事業の生産体制の主力工場。この他、秋田から笠戸まで全国13カ所に国内・輸出梱包事業の加工施設を配置する。
受注堅調、能力いっぱいで生産、今後は増改築強化へ
藤田木材(栃木県鹿沼市、藤田一実社長)の2×4コンポーネント事業は堅調な受注が続いている。受注量は月によってばらつきがあるものの、生産能力に対して概ね105~110%を獲得しており、現時点では来年2月いっぱいまで生産枠が埋まっている。同社の特徴は、実績を重ねているフルパネルと中・大型物件の対応力。老人ホームなど1棟で300~500坪クラスが舞い込むと、既存顧客の仕事を断りかねなくなるが、近隣他社と連携を図ることで新たな需要を取り込んでいる。
広域配送ときめ細かなアフター、高付加価値化、競争力強化に取り組む
シーアイウッド(千葉県袖ケ浦市、杉江繁一社長)は2×4コンポーネント、金物工法プレカット、造作加工の3つが事業の柱、なかでも2×4コンポーネントは前身の企業から数えると30年近くとなる主力の事業に位置づけられる。受注の中心は注文と分譲戸建て関連だが、最近では貸家、大型物件などの受注もこなしているほか効率の良い設備への更新も計画、将来的な新築需要減も意識した取り組みを進めている。
CAD/CAM、パネル化で競争力強化、シージングマシンを増設、月間7,000坪に
シー・エス・ランバー(千葉県東金市、中井千代助社長)は職人不足を背景に2×4パネルの受注が順調に伸びており、特にパネルが75%に達している。CAD/CAMによる機械化(内製化)が強みで、今年2月に3次元加工機を内外工業のマルチカットソーに更新、9月にはシージングマシン(内外工業)を備えたフレーミングラインを増設し、クロスカットから小屋組の3次元加工、合板加工、シージングまでのCAD/CAM一貫体制を整えた。
プレカットシステム高速化、2×4工場の総合支援進める
鈴工(三重県伊勢市、牛場まり子社長)は、2×4加工機に関しては30年の実績があり、搬送システム等まで総合的に対応できる体制を特徴としている。昨年末には墨付け機能付き2×4プレカットシステムをモデルチェンジし、大幅な高速化を実現。このほかクロスカット機やシージングマシンなど多様な加工機の開発と導入提案を進めている。墨付け機能付き2×4プレカットシステム「iCut 6S」はCAD・CAM連動のフルオート機で、オペレータ1人で効率よくプレカットと墨付けを同時に実行できる。
質の高い加工を追求、原価低減活動も進める
太平ハウジング(岐阜県可児市、西長四郎社長)は、フルパネルの出荷が可能なJAS認定工場で月間50棟規模の加工を手がけている。今春以降は地域のビルダーや工務店から受注が増加しており、資材高に対応した原価低減活動にも取り組んでいる。工場では質の高い加工を追求している。資材は加工前に寸法を再確認しており、資材や加工した製品全てを屋内で保管するなど管理面には最大限配慮している。
スマートパネル構想を追求、加工業者を総合支援
キャリアネット(名古屋市、鈴木和広社長)は、2×4の構造設計から生産設計、見積・積算にまたがるトータルCADソフト群の開発、ソフトと連動して生産性を向上させる各種加工機などハードの開発まで手がける。これらを活用して生まれる完成度の高いパネルを「スマートパネル」として、加工業者の進化を促している。同社の主力商品のひとつが2×4パネル・プレカット生産支援システムの「PS/5」。木拾い、カットリスト及びパネル図の作成、墨付け加工機や合板カット機などのCAMデータ出力が可能。
杉スタッド需要を切り開く、継続的な供給を実現
松島木材センター(熊本県上天草市、鍬本行廣社長)は、09年に枠組壁工法用製材(2×4)のJAS認定工場になり、現在まで2×4フレーミングメーカー向けに杉スタッド(基本サイズ2,336×38×89㍉)の継続的な供給を行っている。今では、同材の供給メーカーが全国に少しずつ増えているが、同社の事業開始当初は、対応が難しいといわれていた。同社は持ち前の工夫と開発力で新たな国産材需要を切り拓いた。
2×4ターボドライブ登場、H3より生産性55%向上
全自動プレカットマシン「フンデガー」(フンデガ―社、ドイツ)の総輸入 販売元の沖機械(広島市、沖清社長)は、13年の展示会でフンデガーシリーズの新機種「2×4ターボドライブ」3次元高速マルチアングルカットソーを発表する。従来型の「H3」に比べて生産性55%アップが大きな特徴だ。加工エリアもコンパクトになっている。サイズ的には20㌳の材料を扱う時も全長15㍍以内に収まる。
パネルラインを4ライン化、2×4プレカット、月6,000坪体制へ
けせんプレカット事業協同組合(岩手県気仙郡、佐藤實代表理事)は、増え続ける受注に対応するために12年度に2×4工法と在来工法のプレカットラインを増設した。カット能力は1ラインで月間2,000坪、3ライン合計で6,000坪となった。さらに、顧客からの要請に応え、パネルラインも増設、12月上旬には稼働する予定だ。
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