耐力面材
木造住宅の耐震化において、今や必須の構造要素である耐力面材は、耐力壁としてのみならず、水平剛性を高めるべく床下・屋根下地への採用も広がっている。 面で力を分散する特性を活かし、高耐震性は元より耐火や気密、防腐・防蟻、そしてビルダーの多くは吸・放湿性、特に結露対策として湿気を逃がす機能を重視しており、各メーカーも独自の機能を高めてきた。
耐震改修の合板認定視野に
東京・東北合板工業組合(井上篤博理事長)は、10~12年にかけて12㍉厚の国産針葉樹構造用合板に関する耐力壁の大臣認定を軸組・2×4工法用合わせて13仕様取得し、現在はその普及に努めている。
軸組で壁倍率4倍可能
セイホク(東京都、井上篤博社長)グループは、国産材の積極的な活用を進めながら、構造用合板の耐力壁仕様を中心にした合板の持つ高い汎用性を、これまで以上に周知していく構えだ。
桧合板「森のヒノキ」シリーズを展開
森の合板協同組合(岐阜県中津川市、井上篤博代表理事)は、山間部の立地を生かした国産材合板工場として構造用合板を主体に製造を行っている。特に地域資源である桧材の活用に焦点を合わせ、付加価値のある桧合板シリーズの供給や商品開発を進めている。
脱構造用で用途開発進む
丸玉産業(北海道網走郡、大越敏弘社長)は道内唯一の全量道産材合板メーカーである。ポスト南洋材として合板用材の主流となったロシア材全盛時に、道東のカラ松を原料とする合板工場を建設した今日の量産型国産材合板のパイオニアといえる。
ノボパンSTPⅡ 高評価
日本ノボパン工業(大阪府堺市、山本拓社長)は本社とつくばの2工場で月間2万3000㌧を生産するわが国最大のパーティクルボードメーカーである。両工場に連続プレスが設置されたことで、04年にわが国初の構造用PB「ノボパンSTP」が生産されたが、07年には精度を高めた「ノボパンSTPⅡ」に全面移行した。
外装・内装対応のシリーズ
ニチハ(名古屋市、山中龍夫社長)は、耐力面材として窯業系・外装下地用の「あんしん」と無機質系・内装下地用の「あんしんN」、耐震リフォーム用の耐震改修面材「『あんしん』かべ強化」を展開中だ。
12地域の県産材合板を製造
林ベニヤ産業(大阪市、内藤和行社長)は、地域産材を利用した県産材合板の活用に積極的に取り組み、実績を積み上げてきた。国産材の特徴を最大限にいかした製品づくりで、市場からの信頼も厚い。県産材合板は、京都府・大阪府・和歌山県・三重県・愛知県・岐阜県・長野県・滋賀県・奈良県・兵庫県・静岡県に加え、福井県が新たに加わった。
200種類以上の商品を製造販売
石巻合板工業(宮城県石巻市、野田四郎社長)は、大震災で被災したが震災後約半年で工場稼働を再開させ、12年4月頃には震災前の水準まで生産・販売量を回復させた。ただ工場設備関係の復旧は現在でも100%となってはいない。12年は合板市場で続いた旺盛な出荷量に合わせて機械の生産効率を高め、10年比で5%増を達成。特に12年12月、13年1月、2月は前年比10%増で推移した。現在、合板製品の生産量は月間1万7000~8000立方㍍で、総生産量における構造用の比率は90%以上。したがって構造用以外の合板・LVL材は10%以下となり、国産材の使用比率は7割以上となっている。
OSB市場でトップ
カナダ大手OSBメーカーであるエインズワースグループ(BC州バンクーバー、ジム・レイク社長)は昨年、日本市場へ17~18万立方㍍のOSBを供給した。一昨年が震災後の大量注文で22~23万立方㍍と急増したが、昨年は震災前の水準に戻った。
日本向けは徐々に増強
北米林産大手のウェアーハウザー(米国ワシントン州、ダン・フルトン社長)は昨年から日本市場へOSB供給を開始した。同社は昨年2月、カナダ・サスカチュワン州のハドソンベイ工場でJAS認定を取得、日本向けは昨年4月から生産を開始して第1船は5月に入着した。
防水・湿に配慮し高精度
トルコインダストリー(カナダBC州、ブラッド・ソーラクソン社長兼CEO)の日本総代理店であるタイガーインターナショナル(東京都、高田隆一会長)はメドウレイク・リミテッド・パートナーシップのメドウレイクOSB工場(サスカチュワン州)で生産されるOSBを販売している。
厚物OSBの認知向上へ
欧州の木質ボード大手、クロノスイスグループのクロノプライ(ドイツ・ハイリゲングラーベ、ウエ・ユースト専務)のOSBは、表裏層とコア層ともに100%非ホルムアルデヒドの接着剤であるPMDIを使用する。ホルムアルデヒドを介在しないためシックハウス対策に有効で、もちろんF☆☆☆☆。
耐久性と設計自由度に高評価
ホクシン(大阪府岸和田市、平良秀男社長)の国内MDF生産量はスターウッドが月間7600立方㍍、スターウッドTFBが4600立方㍍で、現状生産能力を満たす操業だ。このうち耐力面材となる構造用スターウッドはスターウッドTFBのラインからフロア用、一般耐水用などと共に生産されている。
化粧兼ねる省施工面材
協同組合レングス(鳥取県西伯郡、中西康夫理事長)は、杉3層ボードを製造・販売する。12㍉厚の杉を3層直交して積層するJパネルは化粧を兼ねる構造用面材として主に国産材にこだわる設計士や工務店に支持され、床や天井、壁面に使用されている。
関東、大阪工場で合板等の浸漬保存処理
ザイエンス(東京都、田中隆行社長)は昨年、大阪製造所内に合板等木質パネルの防腐防蟻表面処理を行う浸漬槽設備を新設し、本格運用を開始した。製造本部関東工場に次いでの設備で、大阪製造所は関西圏を中心とした西日本市場の木質パネル防腐能あり処理需要に対応していく。
「壁柱」の普及に注力
大阪府木材連合会(大阪市、花尻忠夫会長)は、一部屋から施工可能な吸震工法「壁柱」の普及に力を注いでいる。2012年11月15日付で国交省大臣認定を、12月28日には耐震構法、耐震構造体および耐震家屋として特許を取得した。これにより、リフォームと新築住宅のどちらにも対応可能の工法となった。
地震と火災に強い石膏ボード
吉野石膏(東京都、須藤永一郎社長)は地震と火に強いという特性を生かし、内壁用途として普及品目の供給を多く手がけるほか、用途別により高い壁倍率を実現する「タイガーグラスロック耐力壁」、硬質石こうボードを用いた「タイガーハイパーハードT耐力壁」、リフォーム用途となる「タイガーグラスロック耐震壁」の3種を設ける。
認定取得で需要増期待
三菱マテリアル建材(東京都、稲葉好則社長)供給の不燃建材「モイス」の耐力面材「モイスTM」は3×8、9、10判サイズほかメーターモジュールにも対応、防火23、準耐火3の認定を取得しており、このほど小屋裏や天井裏を対象した内装不要の認定も取得するなど用途開拓に意欲的だ。
180棟分のT・Nパネル供給
ニューホームシステム(東京都、松沢俊郎社長)は、国土交通大臣認定の壁倍率3.9を取得した「T・Nパネル」(大臣認定番号はFRM-0366)の拡販に努めている。T・Nパネルは高気密、高断熱、高耐震の木造住宅用パネル。 11年9月に大臣認定を取得して、昨年4月から本格的な販売を開始。ほぼ1年が経過して約180棟の実績を残している。T・Nパネルの製造協力工場は関東、長野、中部、九州の全国4工場。
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